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特攻インタビュー(第1回) 前編 その4

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通常 特攻インタビュー(第1回) 前編 その4

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2011/12/3 8:15
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 ◆空中勤務者試験

 --------それは学校に?

 前村‥教育隊にです。ポスターを見てから班長に、これこれこういうわけで空中勤務者になりたいと言ったら、すぐ簡単にOKを出してくれたみたいでね、2人が一緒に試験を受けに行くことになりました。京王線の調布に昔、京王閣っていう遊園地があったんです。その京王閣のあった場所で空中勤務者の試験が行われたんです。人によっちゃ3日間試験を受けたとか言いますが、そんなに長く実際には受けていないと思うんだけどね。一晩泊まりくらいで受験したかもしれません。

 --------京王閣っていうと、今の調布市の競輪場があるところですか?

 前村‥知らないんですけどね。いわゆる京王閣っていう遊園地だけしか覚えていないです。戦後、行ったこともないしね。

 --------そうすると、空中勤務者っていうのは、特別な試験みたいなものはあったんでしょうか?

 前村‥ありましたね。椅子に座ってクルクル回されたりね、紐があって棒が立っていて、これを手で左と右の棒がピッタリ合うように目祝して動かしてやるというような試験があったり。4桁5桁6桁位の窓から数字がパッと落ちるやつを、瞬間的に数字を記憶するというようなテストがありましたね。上から出る数字もあったし……まあ、あれはいわゆる空中勤務者としての、あるいは航法としての特別な試験だったのかなと思います。パッと落ちてくるやつを瞬間的に捕らえるということは、航法には絶対必要なことですから。

 --------空中勤務者の試験ということは、空中勤務者の操縦とか偵察とか、その後に細かく分かれるんでしょうけども、そのときは空中勤務者ということで、具体的な職種とはまだ全然解らなかったんですか?
 
 前村‥解りません。空中勤務者というのは、飛行機に乗るというだけで、飛行機乗りということは、飛行機の操縦ができるというふうに、最初は単純に思っていたんですね。それで合格して……私はちょっと目が悪いんですよ。赤緑(せきりょく)色弱っていう色盲じゃないんだけれども、色弱なんですよ。成績表を見たら全部〝甲〟だっていうのに、目だけが "乙〟と書いてある。これは駄目だなあと思ったら合格。2日目位に宇都宮に行けと。確か東京駅から浜松に戻らないで、真っ直ぐ宇都宮に行った。そして落ちた同期は、浜松に戻ったんですね。こいつはまだ元気です。

 --------それで宇都宮に行って、航法の勉強にすぐ入るんですか?

 前村‥はい。しかも飛行機は双発の高等練習機〝高練″って言われていた一式高練……(写真をご覧になって)我々はここに乗って……10人位乗ったんじゃないですか? 操縦士とか機関係以外に10人くらい乗ったと思いますよ。でもこれがエンジンの後だから、排気ガスが臭くてね、すぐ乗物酔になってしまいましたよ。でもこれは優秀な飛行機だったらしいね。

 --------宇都宮に行けっていう段階には、もう航法士になることは決定していましたか?

 前村‥いえ、それは解りません。僕らは宇都宮に行けって言われたときには、操縦士になれるとばっかり思っていました。ほとんど3日か4日目くらいには、慣熟飛行ということで、すぐ飛行機に乗ったと思いますね。それで10分か15分、宇都宮から飛び立って利根川を渡って富士山が見えてなんていうんでね、20分か30分くらいの飛行をやって着陸。ところがそれくらいの飛行でも慣れないから、皆ゲーゲー吐くんですよ。

 --------それはさっき伺ったように、ガソリンの臭いとか排気ガスの臭いのせいですか?

 前村‥そうだと思いますね。おそらく3回か4回ぐらいまで……だから大体皆乗る際に「靴下持って乗れ」って言われるから。軍隊の靴下を1足持ってね、吐くとき、その靴下の中に吐くのです。あれは嫌だったですね。

 --------前村さんも吐いた口だったのでしょうか?

 前村‥やっぱり私も1回ぐらい吐きました。

 --------慣熟訓練で初めて飛行機に乗られたわけですか?

 前村‥そうです。初めて飛行機に乗りました。

 --------そのとき、乗客のような気持ちで黙って乗っていたのですか?

 前村‥そのときはお客さんみたいなもんで、何もないし……ただ、「お~、あそこに富士山だ! 利根川だー」ってな感じでね。観光旅行みたいなもんですが、もう5分もしないうちに気持ち悪くなってきて…。それも3回か4回の体験飛行で慣れたのかなあ。

 それで、最初のときに慣熟飛行をやって、我々は航法というものを勉強する為に宇都宮に来たんだっていうのが、3日目か4日目に教わって解りましてね。飛行機を正しく定時定点まで誘導するのが航法の仕事だと…。久しぶりに《定時定点》 っていう言葉を今思い出して言ったんですがね、当時から《定時定点=決まった時間に決まった点に運ぶ》が航法の任務だというふうに教わっていました。

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