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私の従軍記 飯塚 定次 3

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通常 私の従軍記 飯塚 定次 3

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/4/1 7:55
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和十五年十月から十六年六月迄教育訓練が行われ、南支中山県を愈々出発。この期間、軍は南支の作戦に参加していた。中山県はマカオの近くだったので物資の拠点となっていた。ベトナムへ進撃が始まり六月末海南島に陸海の軍船が進撃準備に集結。巡洋艦、航空母艦、駆逐艦、輸送船等々二百隻余の船団で中山県を出る時は内地と同じ様に日の丸旗を沿道で中国の人達が送ってくれた。貨物船を徴用して私達は乗り込んだが仏領インドシナのサイゴンへ敵前上陸する為の作戦会議が甲板で行われ二十五軍と十五軍のいわゆる日本が英、仏、オランダ、タイへ向かって大東亜戦争への緒戦が火ぶたを切る事になったわけです。

 海上見渡す限り軍艦と貨物船。最初で最後の観艦式となった七月二十八日、陸海の敵前上陸はなくなり(仏国と合意が成立)、七月三十日サイゴンで入城式を行う事になり、予定通り入城式を行い部隊本部は市街地の中、確か六階建位だったと思いますが学校の予定で建てた建物を当てた様で十二月三日迄ここを拠点に南インドシナ三国を偵察に大川中尉のお供をしてフランスが作った道路のすばらしさに脱帽した。そして、生活は中国流であり経済を掴んでいるのも中国人、いわゆる華僑だとみました。十二月二日完全軍装で全員出発。ラオスのタイ国境のジャングルへ向かった。大川中尉が運転して私が助手席に乗って行軍途中から大川中尉から「愈々米英佛蘭と戦う対戦争が近日中に始まる。近歩三(近衛歩兵第三聯隊)は第十五軍の基幹部隊としてまずタイへ進撃し飛行場を召領し空軍基地とする。ジャングル野営の一週間は蚊とさそりの攻撃を受け、死を覚悟させられた。各自の身勝手な行動をとらぬこと、現地人の言動に動かされぬ事、勝手な言動は許さぬ、飲食は支給されるもの以外口にするべからず、と厳重に言渡した。十二月八日早朝、暗闇の中を出発。バンコックへ進撃、(午前八時)空港を占拠。タイ国は即日降服して協力体制をとったので、空軍は即、作戦を進め、二日目も寝る時間はないまま、カンボジヤへ前進。プノンペンを前進基地として、体勢を整え寝食を得た。そのため十二月八目から十二月三十日迄連日連夜の軍需物資輸送を十両のトラックで敵の攻撃も受け乍ら夜陰、仮眠一時間位で完送して生沼部隊長から感謝状をいただいた。愈々これからマレー半島を南下して英軍根拠地へ突入する。死に場所へ来たぞと実感出来た。

 私がプノンペンを発った時、一月十八日頃だったと思うが、マレー半島を制圧して我が部隊は二月八日頃シンガポールの対岸に集結し上陸用舟艇部隊で第三大隊があらゆる援護を受け乍ら全島が要塞だったシンガポール島に大きな犠牲を払ってジョホール水道から全島に張り巡らされた集音器(その集音器に音が入ればその地点に集中攻撃をかけてくる陣地、即ち要塞で出来ていた。)兵士の前に戦車がゆく。その戦車を踏み越えて敵陣を一つ一つぶして前進して行った。二月十日の紀元節には日章旗を樹てる予定が約十日近く遅れた。詳細は内地の方々の方が御存じと思いますが、島の中央辺に水道池があって『ライフ』の表紙になった擱座(かくざ)した戦車があった地点を通ったのが十八日だったと思う。この時点では既に聯合軍司令官が降服していたと思います。市街地に直結したゴム林に部隊本部は野営して、二月二十五日次の作戦への準備に入った。三月八日シンガポール港に前進し、次の攻撃地スマトラ島進撃部隊で出撃態勢に入り、部隊長生沼大佐以下(第一大隊はビルマ作戦に出陣)直轄の通信隊、速射砲隊、聯隊砲の三部隊、第二、第三大隊が出陣した。その中で第三大隊の第十中隊は中隊長以下殆どシンガポール作戦で軍曹以下十名程が生き残ったがその外、戦死してしまった。宮兵団のスマトラ(オランダ領)島へ敵前上陸した処は北スマトラのアチエ地区、三月十日シンガポール港を出発、三月十二日夜コタラジャ沖に集結、夜明けと共にオランダ軍の反撃を制して腰迄海水に浸ってサイドカー一台をかつぎ上げて十時過ぎに設営した本部に入った。オランダ軍は約二千名山中へ逃込んだので、自動車班は全力でシンガポールから上陸した部隊の輸送を反復行った。作業の途中で部隊長から至急来る様に伝令が来たので、参上すると、「只今から偵察先遣隊を小林旅団長が指揮されて出発される事になったに付き、車輌二両(現地調達)で先遣隊を搬送任務を」と下命された。

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