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Re: イレギュラー虜囚記(その3)

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あんみつ姫

通常 Re: イレギュラー虜囚記(その3)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2007/12/16 13:28
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
   ラーゲリの編成替え

 六月下旬、川上将校団と二〇九の岩崎大隊長を中心とする兵約二百がレチホフカへ移動。
ラーゲリは二〇九副官の小林中尉を大隊長(コムバート)に、田中、伊藤、広岡、小谷、自分の各少尉と栗沢軍医(歯科)、厩小隊の三浦准尉を幹部に兵約百人余となつた。

 三日三晩大雨の続いた七月初め、広岡、小谷両少尉を中心とする機械技能者が移動することになり、クニヤーゼフ所長と伊藤が引渡しのためクラスキノへ出張した。
出張といっても、貨車に揺られ、貨物ホームの物陰で雨露を凌ぎ自炊するのだから大変だ。

広岡隊はグボズジエボへ行ったという噂だが、その後の消息は一切不明。いったん分離すると何の情報も入らない。
ソ側は団結を恐れて相互の連絡を厳重に警戒し、合併、分割を繰返す。スラビヤンカでは分離が続いて五十六人が残った。

移動が終って一応落着くと、早くから派遺していた修理廠組(レムパーザ)の作業内容が問題となつてきた。
自動車隊出身の技能兵を中心に差出しているのに、所長のコブ大尉(耳の後ろに大きなコブがあり、右手が不自由でいつも左手で握手する)が日曜日でも薪割り、水汲みなど日常の雑役を時間外に使う。

修理廠内の宿舎を取り止め、ラーゲリから通うようクニヤーゼフに申し入れてもコブが応じない。
機会を窺っていたら、横田上等兵が作業中命令違反をしたという理由で下士官に殴られて卒倒するさわぎが起きた。

それっとばかり師団兵站部長のコージン大佐に申し入れてラーゲリに引き取った。しかし朝は一般より早く、作業終了も遅れ勝ちであった。
コージン大佐はスプルネンコ大尉を通じての知り合いで、我々将校を自宅で時々御馳走してくれた懐かしいご仁である。

                           (つづく)        

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あんみつ姫

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