特攻インタビュー(第9回)・その8
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特攻インタビュー(第9回) (編集者, 2013/6/24 8:01)
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編集者
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◆特攻兵器「伏龍」 2
-------海老澤さんが教育に当たった場所はどちらでしたか?
海老澤‥私は最初から関係していましたから、最初は久里浜海岸で、その後は野比でした。久里浜では犠牲者が多かったですね。日によっては7名くらい亡くなるんですよ。最初はちゃんとお坊さんを呼んでお弔いをして、遺骨は全部、国許へ返したんですけど、余りにも多かったんで、隊によっては海岸で火葬したという話を聞きました。
私はその都度、火葬場に行って焼いてもらったんです。
ところが、火葬場の人がスムーズに焼いてくれないんです。火葬場の係長に「なんで焼いてくれないんだ」と聞いたら、「お腹が空いてて死体が運べない」と言うんですね。物がなくて、食事も満足に摂れないんですね。「海軍さん、米を少し分けてくれないか」と頼まれて、主計科で米2トンと缶詰30個くらいもらって渡したら、すぐ焼いてくれました。一時が万事、そういうわけなんです。
犠牲者が多かったもう一つの原因が酸素ボンベなんです。伏龍で海に潜るのに、酸素ボンベを2本背負います。
当然、ボンベの中の酸素は満タンじゃないといけないのですが、酸素会社がまともに入れてくれないんです。ボンベを50本とか100本頼んでも、10本くらいしか、ちゃんと酸素を入れてくれなかった。見ただけでは酸素が入っているのか、空なのか分からない。教員も、俄か仕込みの教員ですからね。
助かった人に聞くと、海中に潜って酸素が満杯あると思って見たらゼロと表示されて、それを見た瞬間、もう駄目だと思ったらしいです。余りにひどいので、交渉に行ったら、酸素会社の人も海軍のOBで、「先任下士官、タバコを都合しろ」と言うんです。それで、酒保に飛んでいって、タバコを7000本くらいですか、当時、段ボールがなくて木箱ですぐ届けたんです。そしたら、あくる日から酸素ボンベ全部が満杯で来るわけです。その後、酸素ボンベが原因の犠牲者は出ませんでした。
にわか部隊ですから、上の人が酸素の供給まで目が届かないんです。また、酸素会社に行くのは35、36歳くらいの補充兵ですから、帰ってきて士官に、「酸素をもらってきました」と言うだけで、中身を正直に報告していないんです。正直に言って、「なぜ、ちゃんともらってこない」となると、海軍ではすぐピンタが飛んできますからね。
ピンタをもらうのが嫌だから、補充兵は「全部もらってきた」とウソの報告をするんです。そういうことで、最初の犠牲者が出たと思うんです。
私か、酸素ボンベのせいで亡くなっているのではないかと気付くまで、7名ずつ、2回亡くなっているんです。
殉職者の数は正確には分かりません。私は35人から40人くらいと思うんですけど、人によっては百人以上と、毎日何十人も死んだって言いますね。
-------上官も教員も、分からなかったのですね。
海老潭‥プロなら分かるんですよ。でも、いないんです。潜水をちゃんと教わったのは、戦艦、巡洋艦、航空母艦などに行っていますから、陸上には、潜水を教える人がほとんどいない。通信兵とか、いろんな人を集めて訓練したのが、にわかの先生ですから。酸素ボンベに空気が入っているかどうかが分からないんです。