特攻インタビュー(第9回)・その14
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特攻インタビュー(第9回) (編集者, 2013/6/24 8:01)
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編集者
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◆決起を誓い武器を隠す 2
-------終戦で停戦命令が出て、その後、隊員や武器はどうしたんですか?
海老澤‥他の特攻隊はいろいろやっているのに、うちは特攻らしいことを何もしていませんでしたからね。万が一のことがあった場合、特攻隊の連中が集まって天皇陛下を守ろうと、そんな話をしていました。それで、こんな決起書のようなものを作りました。
「兵に告ぐ。
我々伏龍特攻隊は、本日を以て解散する。隊員諸君、戦闘訓練を本日修了する。我々は戦闘意欲は十分ある。天城の山で決戦する覚悟でいる。陛下に万が一の場合は皆に集合をかける。諸君の住所、落ち着き先を班ごとに集めて至急、先任下士官まで提出せよ。
八月二十二日
伏龍隊先任下士官 海老澤善佐雄」
-------この決意書は海老澤さんが発意したのですか?
海老澤‥そうです。伏龍隊の分隊長は予備学生ですからね。私よりも3歳くらい若い人ですよ。学歴で上官になりましたけど、戦争のことも軍隊のことも何も知りませんからね。兵曹長も何人かいましたけど、みんな兵科じゃなく、潜水を知っている人が指導に来ているわけですから、私みたいにテッポウを撃って戦争をするような人間じゃなかったから、眼中になかったですね。
オレが上だみたいに思っていましたから。
で、米と武器を予備学生の隊長の家に集めることになったんです。手榴弾500発と米20俵を半日かかりで隊長と2人で運びました。それで、隊長の家というのがよく覚えていなんですが、横須賀の先の山の上あたりだったような気がします。戦後、私は一度もそこを訪れていないし、米をねだったこともないから、その後、米と武器がどうなったかは知らないんです。米はともかく手榴弾はどうしたんだろう……。
海が近くにあったから、海岸辺りに捨てたと思いますよ。伏龍で使った爆雷も、野比にいた上の連中が海岸近くの防空壕に埋めたらしいです。
それで、今から10年くらい前ですか、伏龍の破棄爆薬が原因で、野比の民同工場で爆発事故がありました。でも、伏龍の関係者は誰一人名乗り出ませんでした。よっぽど私か名乗り出て、自分の部隊の責任ですと言おうかと思いましたが、新聞沙汰になって槍玉に上がっても困るから黙っていましたけど。本当は軍需部に納めなきゃいけないものなんです。終戦のドタバタであんなことになったんですね。
-------今日は貴重なお話をありがとうございました。
(……了……)