心のふるさと・村松 第三集 4
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エ、電信電話学 (通信学理第三部)
『通信学理』第三編無線通信を教材に用いた科目は正式の科目名が何であったのか不明であるか、多分時間割の中で「電信電話学]の時間が可成り配置されている所からすれば、この科目ではなかったかと思われる。大學の配置科目に「無線通信工学」なるものがあり、配列は若干異なるが、周波数、通信方式、無線送信機、無線受信機について言及されているから、通信学理第三編に該当するものと云ってよいだろう。
第三編の構成は、第一章受信装置、第二章送信装置、第三章周波計、第四章無線電話装置、第五章空中線及接地、第六章電波ノ輻射及伝播、第七章方向探知機となっている。とりわけ、受信装置について、九四式三号甲無線機の構造はスーパーヘテロダイン方式が特徴であったことを徹底して教えられた。
同時に、器材を用いて「故障探求」の演習が行われた。送信真空管の陽極(プレート)が管の頭部に突出し、発電機の高圧がここにかかっているのを知ったのもこの頃である。
オ、電機学(通信学理第四編)
この科目については、三号甲や五号無線機の送信電源が発電機の転把を二名又は一名で回転させて発電を起こすものであったから、この方の教育よりも、二号乙の発電機の構造理解に力点がおかれた。今日では自動車が普及しているから、これらの理解にはそれ程苦もなく理解できるであろうが、当時は発電機の構造を知るのに重要な科目であった。英語は一切用いられないから、シリンダーのことを「気筒」といい、以下プラグが「点火栓」、キャブレーターを「気化器」、マフラーを「消音器」と教えられた。単気管であったから、航空発動機に比べれば単純であったといえる。しかし、演習ごとに燃料として、ガソリンとモービル油を混合したものを搬送しなければならなかったこと、発働機の自重が約五十キログラムあり、二名で棒に差し込んで搬送し、駆け足しで散開をする場合には参ったことなどが記憶に残るが、発動機を分解し、整備をした後、再度これを組み直して、発動機が高らかに可動したことは永久に忘れられない程に印象が強い。第四部の中心は発動機の部であった。
以上、学科について細々と回想を記したが、これら以外に、服務や各種演習の印象もあるけれども、紙数の関係で、他は省略する。