増補版・表参道が燃えた日
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投稿日時 2009/11/9 8:11
編集者
居住地: メロウ倶楽部
投稿数: 4298
はじめに
先に、掲載させていただきました「表参道が燃えた日」の「増補版」が発行されました。
こちらも、掲載の許可をいただいていますので掲載いたします。
メロウ伝承館 スタッフ
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増補版発行にあたって
昨年二月に初版を発行しました本書は、予想を超える反響を呼びました。戦災によって受けた衝撃が、いまだに多くの人の心に深く刻まれていることを物語っています。
毎年五月二十五日に行われている青山、善光寺での戦災犠牲者の法要には、新聞報道の影響もあってか、今年は大勢の方が参加されました。法要のあとの懇談の場で、初めて参加された一人の男性から、「私は疎開先で、空襲で母と姉が行方不明になったという連絡を受けた。その時亡くなった人の遺体はどこにいったのか、知っている方がいたら教えて欲しい」という悲痛な訴えがありました。その後この男性から「当時、父は外地にあり、子供であった私と弟が母の言いつけで一足先に疎開したため、女、子供を置いて男が先に逃げたという結果になり、今でも後悔の念にさいなまれ、大きな重荷となって私の心を塞いでいます。二人は生きたまま火に追われて焼き殺されたという事実を想像することを、私の心は拒否してしまいます。」というFAXをいただきました。
戦後六十四年を経た今日でもこうした思いを抱えた方が何人もおられ、戦災体験を語ることを拒まれています。一方、誰にも話せなかった痛烈な恐怖の思い出を話すことはつらいけれども、事実を伝えることが、愚かな殺戮を再び繰返さないことになるならばと手記を寄せられたかたもいらっしゃいます。
このたびの増刷にあたっては、新たに寄稿していただいた八人のかたの体験記を加え、増補版といたしました。掲載したかたは原宿一丁目、二丁目で罹災されたかたが多く、三篇は、表参道のすぐ北方の新道の貯水池周辺での惨状の話です。
初版と同じように多くの方のご協力をいただき、穂積和夫様には挿絵を描いていただきました。厚くお礼を申し上げます。
二〇〇九年八月
「表参道が燃えた日」編集委員会