旅行記 
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[No.4900] 東ドイツ紀行 17 (1986年) 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/09/17(Sat) 06:45
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東ドイツ紀行 17 (1986年)
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 合理的な朝食クーポン券システム

 5月5日(月)晴れ、日中とても暑い

 さわやかにめざめた。支度をすませると早速、開店早々の食堂へ急ぐ。朝の早いこの国ではどこのホテルでも6時から食堂があいていて私のような朝型の人間にはおお助かりである。さすが、まだ誰もきていない。若いウエイトレスが手振りでお皿に好きなものをとってくるようにいっている。テーブルのうえには、チーズ、生ハム、鰊の酢漬け、ヨーグルト、バター、ジャムなどがこぎれいに並んでいる。

 これだけならどこの国にもあるビュッフェスタイル、日本式にいえばバイキングスタイルの朝食である。ここのユニークなところは、すべての料理に値札が付いていることである。一皿ごとにではない。ハム、鰊の一切れずつに、バターのひとかけらごとに、である。好きなものをとったらレジにもっていって計算をしてもらい8マルク以内なら朝食クーポン券を渡すだけで可、オーバーしたときは超過分をキャッシュで支払う。コーヒーだけはレジでその旨いっておけばあとから席までもってきてくれる。大概の料理は1マルクぐらいなので8マルクあればほぼ、欲しいものはそろう。コーヒーだけは高くてポット一杯2.7マルクもした。ただしここのコーヒーはモスクワのとは違って本当のコーヒーの味がする。量もたっぷりあった。パンは全粒粉を使ったやや黒いパンである。しかし、香ばしくてかみしめると味のあるパンだ。私のお皿をみたレジの人は「ダメ」といって食料品置き場にもどるよう指示する。なにがいけないのであろう。彼女は手振りで「もっととれ」と言っているようだ。要するに、8マルクに限りなく近い値段になるようにもっとお皿にとれ、と言っているらしい。パンとバター、ジャムを追加して合格した。でも、そんなに食べられるかしら、心配する。しかし、彼らの「やり方」をみて納得した。

 ここのホテルではお皿にものを残して席を立つひとはいない。残ったパンに残ったバターをぬりハムをはさんで持ってかえるひと、ポットに残ったコーヒーをジャーに入れて行くひとがたくさんいた。私も同じことをやった。「郷にいれば郷に従え」である。これがピクニックのお弁当になるのだ。一旦支払ったあとはいわば自分が買上げたものなので、せいせいどうどうとやっている。(逆に残せば「勿体無いこと」と非難されるかも?)。

 日本のホテルのパーティー会場などでお皿に残されたたくさんの料理をみていつも気になっていた私はこれをみてむしろすっとした。日本の「教養あるマダム」などが近くにいたら「まあ、なんとはしたないことを」と蔑まれたであろうが。

 なお、ドイツの食べ物はまずいときいていたが決してそうではない。生ハム、魚の酢づけなどとくにおいしい。あれだけの文化を築いた国なのだからおいしい料理がないわけはない。なにかの本でバルト海の魚料理、ロストックの生ハムが有名なことを読んだことがある。戦後の混乱期を経てまたこれが復活したのではなかろうか。しかし地元のひとたちがいつもこんなものを味わっているわけではなく外人観光客の泊まるインターホテルに優先的に割り当てられているにちがいない。


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