旅行記 
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[No.4933] 続・東ドイツ紀行 26  (1986年) 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/09/26(Mon) 06:54
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続・東ドイツ紀行 26  (1986年)
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 さて、私がワイマールで何を見学したかについて書きます。
 例のホテルの8マルクの朝食を済ませ、まず、ゲーテパークを訪れました。ホテルのすぐ裏手なのですが、街の喧操(もともと静かな街ではありますが)をまったく感じさせない公園です。イルム川をはさんで緑の散歩道がつづいています。
 川のむこうにはゲーテ山荘があります。日本の公園のようにビルやネオンがみえたりはしないのです。深山幽谷にいるよう。そのうえ、ずいぶんと大きな公園です。
 ここから住宅地を通って「ゲーテとシラーの墓」へ。神社の鎮守の森のようにこの廟も森の奥深くにあります。広い公園の清々しい朝。柔らかい緑の木々。1824年から24年の歳月をかけて作られたという納骨堂にお参りしました。朝早いためか他にだれも参詣人がいないので、うすら寒くて暗くしめっぽい地下の納骨室に一人で降りていきました。大きな石の棺がふたつ、少し間をおいて並んでいました。なんだか気味がわるくてすぐあがってきてしまいました。入り口の小さなキオスクで絵はがきを買ったら「気持ちが悪かったでしょう」というようなことをいって、おばさんは肩をすぼめていました。この墓地には、ワイマール大公や「ゲーテとの対話」の著者エッカーマンなどのお墓もあります。

 昨日の「ワイマールゆかりの人」には書かなかったのですが(と言うより。この方自身がワイマール物語の主人公ですから)ワイマールが今日あるのは、ここの歴代の領主によるところが大きいのです。
 バッハを招聘したのも、史上最高のスカウトともいうべきゲーテをフランクフルトからはるばるひっぱってきたのも、領主、皇太子という人たちであったといいます。
 話は飛びますがエステルハーツィー公がいなかったらハイドンもシューベルトも困ったにちがいない、現代の云術家はマスコミや大衆に、冷戦時代には社会主義体制というご主人に仕えていたわけです。「メセナという名の旦那?タニマチ?」も、やや安定性を欠いた存在です。こんな「ご主人様」にお仕えするのと、文学や芸術に理解ある殿様に仕えるのとどっちがしあわせでしょうか。
 そんなことを考えながら、次に国民劇場にいきました。ゲーテやシラーの作品が上演されていたばかりでなく「ワイマール憲法」もここで採択された、というワイマールの重要な舞台です。

 ここで、にわかに大雨に。ゲーテの像もシラーの像も放射能の雨にぬれていました。
 広場をぶらぶらしていたひとたちがいっせいに雨宿りをします。慌てている様子が見えました。
 大急ぎで子供にレインコートを着せているひともありました。
 ヨーロッパのひとたちは、普段は、わりに傘をささないと思っていたのに、この日は違いました。これは相当チェルノブイリを意識しているな、と思いました。私も放射能を浴びるのは嫌なので郵便局に駆けこみました。
 もっと、あちこち、見物していたかったのですが、この雨がかなりの放射能を持っているらしいことは、周囲の皆さんの行動でわかったので、なるべく屋内にいることにしました。
 そこでカフェにいき、絵はがきを書くことに。書きあがったハガキを郵便局の窓口に持っていくと、老年の少し手が不自由で発語の不自由そうな窓口氏が45ペーニッヒだといって料金表のヤーパンを指で示しました。 不思議です。前日、エルフルトの郵便局では55ペーニッヒだといったのに。
 しかし、どちらもつつがなく日本へ着いていました。料金改定があったのに、料金表を差し替えるのを失念していたに違いないないです。しかし、その後も、この国のあちこちで、障害者・高齢者が働いている姿はよく見かけました。 しかも職場でも戦力として定着していたように見受けました。この面で、こんなに進んでいる国はなかったのではないかと思います。 お上のお声がかりで、一斉に何かがやれる「全体主義」というのも、悪いことばかりではなさそうです。
 ヘルダー教会だけをみてホテルに戻り、チェックアウトしワイマール駅に向かいました。
 写真は、大公家の墓所。地下の納骨堂に、ゲーテとシラーのお棺があります。次が国民劇場です。


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