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特攻インタビュー(第6回)・その12

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通常 特攻インタビュー(第6回)・その12

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/5/27 6:43
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 陸軍航空特攻 堀山久生氏

 ◆特攻訓練マニュアル(3)

 --------自分でいろいろなアイデアを出して訓練方法や攻撃方法を考えられたわけですね?

 堀山‥戦後、調べたら、私の考えが間違っていなかったと思わせる文献を二つ見つけました。一つは陸軍が特攻を考えた時、昭和19年11月に、第三航空技術研究所長・正木博少将が「捨身戦法における艦船攻撃の考察」を参謀本部に提出した中の、六つの攻撃方法の中で四つは「水面下爆発の有効性」が書いてあり、「然し困難で喫水線上を勧めて」おられます。戦後刊行の「戦史叢書・決戦兵器の整備-長期的研究の廃止」455ページを参照していただければと思います。「続・陸軍航空の鎮魂」という本にも、どこかにありました。

 もう一つは海軍の話で、「造艦技術の全貌-わが軍事科学技術の真相と反省(1)」(輿洋社)で、元海軍技術少佐の福井静夫氏が著述した第一部の中に「水中弾道」の記事が24ページにあります。廃戦艦「土佐」による防御実験の話です。当時、魚雷に対して十分の防御がされていたが、40センチ砲弾の至近弾が反跳せず、水中を進行して舷側甲板下を貫通し、水雷防禦壁を苦もなく突き破って機械室で炸裂し、大損害を生じた……浸水量は3000トンであた……。まあ、私の攻撃方法は戦術作業の 原案」を当てたようで嬉しくなりました。

 --------「水面下に当たる」という攻撃方法は結局、訓練するまでに至らず……

 堀山‥私もやっと2カ月位で、これでも一生懸命に考えたのですが、狭い一人の着想で止まりました。とても館林が皆、この方法を採用するまで発展は考えず、又、先に散った特攻の先輩のそれぞれにあった着想も残っていないし、情報交換の場もなかったのです。

 この「体当たり」については、百式司偵の特攻、第二七〇振武隊長の折原志津夫君(航士57期)から、戦後に開いた珍しい話があります。ある時に海軍の将校から「敵艦の後部の舵やスクリューを狙っては」と言われたそうです。これは、昭和15年にドイツの戦艦「ビスマルク」を、イギリスの「ソードフィッシュ」という旧式の複葉の雷撃機が舵に魚雷を命中させて、「ビスマルク」はクルクル回ってフランスの軍港に戻れず、追撃してきたイギリス艦隊につかまり撃沈されてしまったのです。空母などは艦載機の離発着は高速力で直進せねばならず、舵やスクリューを破壊したら、空母の機能は停止し、後方へ退くにも駆逐艦数隻をつけねばならず、大戦果でしょう。中学時代に知っていたはずなのに……。館林の19人の特攻隊長が皆、合同で攻撃方法を議論することが全くなかったのは反省すべきですね。

 --------館林には19個の振武隊が集まって合同訓練したということですが、訓練自体は隊ごとに別々だったのですか?

 堀山‥館林飛行場は縦横1400mの草飛行場で、四式戦の当隊の場合、一九一一九二、一九三、一九四の4隊が格納庫の前で飛行訓練し、他に飛行機を見ず、他の隊の訓練を一切見ていません。上手に区分して使用したようです。

 試験飛行の話ですが、57期の藤井常男君(第一八八振武隊長)が「重量物搭載」飛行を行いました。2001の落下タンクに水を入れて、2個で4001。まあ250kg爆弾2発位の体験になり、大変、操縦の自由が利かなかったそうです。四式戦の性能は高度6400mで時速624kmですが、「だんだん粗製濫造になり、性能も無理だろう」と、私も試験飛行で高度4000mから角度35度、レバー全開で実行。計器盤で時速624kmを視認しました。その際、急降下から上昇に転じるのに「トリムタブ」を使い、滑らかに上昇するのを体験しました。「タブ」は四式戦から初めてついて、場周離着陸時に使いましたが、他では使用の経験がなく、「おや、面白いな」と感じた位でした。特攻出撃で、超低空で行く時に、舵に敏感な四式戦は高度保持に苦労するはずですが、戦後に、航空自衛隊の戦史官の服部省吾さん(防大6期) の「操縦のはなし」という本に、タブを使い遠方の目標で高度10~15mをとれば楽に飛べることが書いてありました。なぜ56期の教官もそれを教えてくれなかったか……中島飛行機の技師も陸軍に上申してくれなかったか……惜しい事でした。トリムタブは、せっかく使えたのに残念です。超低空飛行の苦労が一つなくなったら、上空の警戒や編隊の調整など、もっといろいろ気を配れたと思います。

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