特攻インタビュー(第6回)・その18
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特攻インタビュー(第6回) (編集者, 2012/5/12 7:59)
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編集者
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陸軍航空特攻 堀山久生氏
◆慰霊と平和祈念だけでなく戦没者の顕彰を
--------堀山さんもこの本で、いろいろ特攻についての所感を書かれていますが、改めて伺いたいのですが、堀山さんにとって特攻とはどういうものなのでしょう。
堀山‥もし、特攻を行わなくてすむ戦況なら、私だって志願しません。こんな消耗戦術が続けられるはずがありません。当時、あの戦法以外に勝利への途がなかったから、私は進んで志願したのです。降伏せよと言うのですか?それは軍の上層部の担当です。第一線部隊の下級指揮官は死力を尽くして戦うだけです。
--------特攻隊員としては出撃するのが当然という気持ちは理解できるのですが、送り出す家族の立場を考えたらどうでしょうか?送り出す立場からみれば、特攻も違った視点から考えなければならないと考えますが。
堀山‥それはあるかもしれません……しかし、それでもだ!……それでもやらなきやいかんと思います。そうしなければ一国は滅亡すると思う。親兄弟には心理的な大きなショックで、長期に国内が特攻を継続出来ず、政治の分野にも関係したでしょう。一億総特攻というスローガンも昭和天皇の御聖断で終わりました。これは当時の均衡の取られた処置です。しかし国民としては、やはり自国の危急存亡に際して身を捨てて、立ち向かう犠牲的愛国心を持ってほしい。国家の自由を奪われるのは御免です。家族のために若者が犠牲を甘受すべきです。でなければ誰がその抵抗をしますか?若者は運が悪かったのだと諦めてほしい。歴史はその繰り返しと思います。日本は、その危機の度にそうして国を守ってきたのです。私はそれをやっただけです。やらない人の発言には同意しませんが。
--------こうして堀山さんや他の人にお会いして、我々なりに特攻の事績などを理解して、さらに、次の世代まで語り継ぎたいと考えていますが、体験者として、我々の活動に対して、こういうことに力を入れてほしいなどの要望はありませんか?
堀山‥特攻で死んだ人の名誉というのを尊重してほしいと思いますね。それで、その家族なんかにつらい思いとか、嫌な思いとか……悲しいのはしょうがない。悲しいのはしょうがないけど、こちらの言動で、そういう人たちが、つらいような気持ちになることは避けてほしいと思う。特攻を客観的に戦法として批判するのはまた別ですよ。それはやってもいいけど、その当事者に過酷な仕打ちをしないでほしいということですね。
今の日本の現状に対してですが、戦勝国は降伏国を、思想・言論は自由にしても、「歴史」は一国の精神の因るところ、戦勝国の方針に変えさせ、政治・経済・学問で分断政策を巧みに操れば、基本的には降伏国を再起不能にし、将来も従属が続くでしょう。民主主義は「神の思想」と言うほどにバランスが難しいと聞きます。「個なくして私のみ在り」……欲望無限の60年です。「特攻」も美化するなと言い、今なお、「顕彰の字のない、慰霊と平和祈念」がせいぜいです。
ある戦争未亡人の、平成17年の靖国神社の献歌ですが、「かくばかり 醜き国になりたれば 捧げし人の ただに惜しまる」に同感です。一度、堕落した自覚のない人々が再生するには、何年かかるか判りません。皇室と共に来た日本人が、武家政権から明治維新を迎えるまで700年かかりました。その思わぬ発端は「国学」でした。それが人々の日本の再発見となり明治維新へ。さらに海外思想も取り入れ立憲君主政体になり、世界での近代日本の発展の本になりました。しかも歴史は、各国の栄枯盛衰の事実を冷酷に告げ、「満つれば欠く」が原則です。価値なきものは滅び、今の日本では再生の目の前に滅亡しかねませんが、それは自業自得です。
「ONE FOR ALL一ALL FOR ONE」(一人は皆のために、皆は一人のために)……これは近頃のサッカーの合言葉にあるそうですが、まあ、当分は口当たりの良い英語でも使い、スポーツの合言葉くらいから始めてはどうでしょう?大衆自らの行動から精神が生まれるでしょう。いつか、国家の危急の際に子孫のDNAが、我々の特攻精神を発揮させるかもしれません。アテにはなりませんが、せめて期待したいですよね。
--------今日は貴重なお話をありがとうございました。
(……了……)