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特攻インタビュー(第8回)・その10

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通常 特攻インタビュー(第8回)・その10

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/5/26 6:32
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 ◆「赤トンボ」特攻隊の編成  2

 --------特攻訓練は具体的に、どのような訓練だったのですか?

 粕井‥夜間の離着陸。それから、観音寺の沖合い約10kmのところに円上島という小さな島があるんです。それに向かって編隊で飛んで行って、島の上に到着した時、照明弾を落とすわけです。照明弾が落ちたら島が明るくはっきりと見える。それに向かって突入する訓練です。突入して引き起こして、そのまま基地に戻ってくる。これが基本的な訓練です。だから夜間飛行、それから急降下爆撃、緩降下爆撃、そして夜間の着陸です。

 --------サングラスをかけている写真がありますが、普段、使っていたのですか?

 粕井‥夜間飛行をする場合、出来るだけ視野を良くするために、夜、真っ暗なところで山の稜線を見たりするわけです。普段、昼の明るいところの目に慣れてしまうと、夜間は非常に見えにくいんです。むしろ、昼はあまり日向に当たるなと、明るいところに行く時にはサングラスをかけて、出来るだけ瞳孔を開けないようにしておけと。毎日そういうふうに自覚して訓練すると、なかなか見えなかった夜の山の稜線なんかが、かなり見えるようになります。

 --------特攻訓練には、何かマニュアルとか教本があったのですか?

 粕井‥いや、マニュアルなんかありません。経験の積み重ねです。中練特攻でしょう。赤トンボで特攻するわけですからね。破風張りの赤トンボに果たして爆弾を積めるかどうかというところからですもの。零戦特攻だって250㎏なのに同じ爆弾を積もうというんですから。私は体重が軽い方ですから、「軽いお前が乗れ」というわけに連れて行った練習生は、まだ40~50時間しか乗っていないから練度が低くて、失速したり、機体の姿勢が判らなくなると墜落してしまうわけです。実際、そういう事故が何回も起きました。それで、操縦席の前と横の二方向から操縦悍にフックをかけて、操縦悍を中正に固定するわけです。練習機は安定した飛行が出来るように設計されています。機体が少々、変な姿勢で飛行してもエンジンの動きが正常で、舵も中正の位置にあれば何百mか落下しますけど、そのうち水平飛行に戻ってくれます。だから、高度さえ十分にあれば失速などで墜落することはなくなったわけです。沖縄への長距離飛行では全機にこの装置をつけようとか、途中の南西諸島の島々に誘導橙を設置しようとか、そんな幼稚とも言えない原始的なアイデアも浮かびました。

 --------練習機に爆弾を積んで飛行するというのは思ったより天変だったのですね。

 粕井‥そうですね。九三式中練はスロットルレバーが 0 から10まであります。6か7ぐらいでスピードがついて上昇して、水平飛行に移る時には3・3か3・5くらいに戻すわけです。ところが、250㎏爆弾を積むと10まで押しても、なかなかスピードが上がらないんです。上がった後、普通の上昇のレベルである5ぐらいまで絞ると、今度は飛行機が沈むんです。普通だったら、どんどん上昇するぐらいまでスロットルレバーを開けておかないと水平飛行が出来ません。旋回する時も背中に重い荷物を持っている感じで、「ヨイショ」という感じになる。元へ戻そうと思っても、なかなか戻らないんです。

 --------爆弾を積んだ状態だと、時速何kmくらい出るものなのですか?

 粕井‥75ノット弱です。75ノットというとキロに直すと140kmですか。

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