特攻インタビュー(第8回)・その17
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特攻インタビュー(第8回) (編集者, 2013/5/17 6:31)
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編集者
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◆ベストを尽くした海軍時代 2
--------粕井さんの最終階級は海軍中尉ですが、士官として、特攻隊員として、あの特攻作戦について何かご意見はありませんか?
粕井‥特攻作戦はやはり邪道でしょう。あの大西瀧治郎中将がおっしゃったように、のっぴきならない最後の手段を取ったと言いながら、必ず死ぬというような戦法は、私は、やはり大西瀧治郎さんがおっしゃったように邪道だと思います。
-----特攻作戦について疑問をお持ちになったことはありますか?
粕井‥ありません。私は粕井家の次男として当然の責任を果たすべきだと……もうこれ以外に日本国民として道はないという気持ち。恥ずかしくないような最期を遂げたいと、そういう思いだけでした。
--------特攻で戦死された同期の方たちのことを思うと、どのようなお気持ちになりますか?
粕井‥「貴様とおれとは同期の桜」……特攻の慰霊祭に後、皆で肩を組んで歌う。その時に皆、いまだに涙がこぼれます。一頃、それが流行歌のように何か宴会の余興の1つで、何も知らない連中がやると、我々の同期はそこへ行って、「やめろ」と言って、「こんな酒席で歌うような歌とちがうんだ」、「今すぐやめい」と怒鳴り込んでいきました。靖國神社へ参拝しても、どういうんですか、ものすごく悲痛な気持ちになります。「なんで、あいつと俺とこない違うんや」と……。本当に何も知らんで……。世の中の楽しいこと、お酒飲むことすら知らん、それで死んでいるでしょう。当時の平均年齢は男性で40歳代です。ところが、私はその倍、生かさせてもらっているんです。だから、本当に申し訳ないという気持ちと、ありがたいという気持ちが交錯します。
‐--------今の若者たち、そして、子孫にこれだけは語り継ぎたい、これだけはわかってほしいというものがあれば、教えていただきたいのですが。
粕井‥どの時代でも、これが正しかったとか、こうしなければならなかったというのがあると思います。明治維新前後では勤皇か佐幕か、あるいは攘夷か開国かという時に犠牲になった方々もいますね。だけど、その立場、立場において、やはりその人は、この生き方がベストやと思って戦い、あるいは、それゆえに暗殺され、暗殺した人もいるが、皆、それは尊い命であり、その時代、時代にベストを尽くそうと思った人たちがほとんどだったと思います。そういう人たちの考え方、人生のあり方というものを尊重して、自分がせっかく与えられた生命、一生というものを大切にし、その方が、この世の中に生まれたことで世間にプラスになるような生き方というか、そういう自覚を持ってほしいと思います。
--------我々は特攻隊戦没者慰霊顕彰会の1人として慰霊行事などの活動をしていますが、我々に対する要望は何かありませんか?
粕井‥いや、ご立派と思います。そういった方々がいなかったら、亡くなった戦友が死んだ意義が少しでも高められることは有難いことです。だから、そういうお考えをずっと続けられるようにしていただきたいと思います。
--------今日は貴重なお話をありがとうございました。(……了……)