特攻インタビュー(第10回) 8
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編集者
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◆生と死 その1
-------海軍予備学生を扱った戦争映画などもたくさんありますが、そういうものをご覧になりますか?
岡本‥私は逆に、海軍の航空隊がらみのものは見たくないですね。ああいう状況で友達がみんな死んでいったなあと思い出しますから。
田中‥私はね、もう大分、前になりますが、アメリカ映画で「メンフィス・ベル」という映画がありましたね。ヨーロッパ戦線でアメリカの大型爆撃機が、イギリスのスコットランドからかな、ベルリン周辺を爆撃するという映画があったんです。それを見た時、出撃したアメリカのB17が高角砲に当たって、搭乗員に負傷者が出るんです。その時、「こいつに落下傘をつけて降ろせ」 と言うんですよ。「基地に戻るまで待っていては助からない」、「敵地に落下傘で降ろしたら、命が助かるかもしれない」 と議論し合うシーンがあったんです。あれには驚きました。まあ、映画だからそういう人道的なシーンを入れたのかもしれませんが、我々の軍隊生活を通してみても、日本ではあり得ないと思いました。本当にあったのかどうかは分かりませんが、あのシーンを見た時は考えさせられましたね。
-------海軍航空隊で搭乗員が負傷したら?
田中‥敵地に降ろすなんてことは絶対にしません。我々の知る限り、日本の軍隊でそんな考えはありませんでした。
-------そのシーンは、日本人とアメリカ人の考え方の違いを象徴していると
田中‥それと、もう一つ感じたのは、彼らは何回爆撃に行ったら本国に帰すというルールがあるんですね。生きる希望を持たすために、そういうルールがあったと思いますが、我々はそういうことは考えもしませんでしたね。
-------そうすると、特攻という考えはアメリカ人には出てこないでしょうね。
岡本‥出ない。
田中‥出ないでしょうね。