特攻インタビュー(第10回) 13
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◆特攻から夜間爆撃に その2
田中‥つづき
それで、北飛行場までたどり着いて、爆弾を投下する前になると、前方に閃光がバッハバッハと走るんです。最初、なんだか分かりませんでしたが、敵の対空砲火なんですね。その中を突っ込むわけですから大変、緊張しました。高角砲の至近弾の衝撃で飛行機はものすごく揺れるし、もっと近づくと、今度は花火の中に入ったような、火の粉の中に飛び込んだような感じでした。こっちは実戦は初めてですからね、もう無我夢中で、何が起きているのかもわからず、言われて、ああ、そうかという具合で (笑)。
なにしろ、至近弾の衝撃というか、下からズーンと突き上げるようなね。また、破片があちこちに当たるんです。直撃を受けたらひとたまりもありません。弾幕に入ると空が真っ暗になるんです。煙でね。それで、一式陸攻は気密性が良くなくて、火薬の匂いが機内に入ってくるんです。その印象が強く残っていますね。
それで、一式陛攻の尾部に銃座があるんですが、そこで、川口二飛菅が欺網紙を撒いていたんです。アルミ箔で敵のレーダーを欺くためです。アメリカの高角砲はレーダーで撃っていますからね。だから、敵弾は後ろ後ろに行くわけです。前方で爆発したら一式陸攻なんてひとたまりもありませんが、後ろで爆発したから、そういう意味では非常にうまくいったわけです。で、高度5500mで飛んでいるでしょう。下を見ても何も分かりません。飛行場に爆弾を全部落としたつもりですがね。飛行場を通過した直後、左エンジンが止まったんです。一式陸攻はロケット排気になっているんです。排気管が分かれているんですね。だから、きれいに青色に光っている。それがパッと消えてしまった。プロペラも止まった。これはやられたと思って、和田飛曹長が必死に操縦をしました。それでみんなで手動ポンプを動かして……重いから疲れるんですよ。それで、何とか対空砲火の圏外まで出ました。そうなるとね、早く九州の基地に戻ろうと頑張りました。 いやあ、弾幕を抜けるまでの長かったこと (笑)。時間にしたら、ほんの数分のはずですけど、非常に長く感じました。
ああいう時の機内の雰囲気というのは異常ですね。6人が乗っているわけですが、誰も何も言わないんです。だけど、お互いの考えていることが分かるんですね。不思議ですけど、何も言わなくても、みんなの意思が伝わっていました。 その後は、ひたすら九州を目指して飛び続けましたが、朝日が昇る頃、薩摩半島の突端にある開聞岳が見えました。その時は、「ああ、九州に着いた」という安堵感が初めて起きました。