硝煙の海 菊池 金雄 14
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編集者
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アメリカ第一歩
サンフランシスコに入港するとき、金門湾にかかるゴールデン・ゲート・ブリッジの下を通るのであるが、目の錯覚でマストがあたりそうに見えたが心配無用だった。
水先艇の米人パイロット(水先案内人)が、風波に翻弄されながら勇敢に本船の縄梯子に飛びつき悠々とよじ登った。彼のプロ根性には感服してしまった。
入港日は新鮮な野菜やフルーツの盛った洋食メニューに舌鼓を打つことになる。私はそのときはじめて「サンキスト・オレンジ」を味わった。
翌朝、岸壁周辺には多数の乗用車があった。誰のものかと思ったら荷役作業員のマイカーとは、びっくりの巻。また、日本人経営の船舶食料品店にも自家用車が数台あるとのことで、生活レベルの格差には、ただただ驚くばかりであった。
波止場から繁華街まで離れていた。仲間とテクテク歩いていると、帰宅する作業員達が気軽にクルマを止めて乗せてくれた。
とあるスナックでイタリー人から声をかけられ、何かヤンキーの悪口を言っていた。多分日独伊親善のゼスチャーであったろう。
門広チーフオフィサー(一等運転士)は、素面は善人だが酒癖が悪く、外人にも難癖をつけるので、はらはらさせられたものである。
サンフランシスコの積み荷は、ドラム缶入り航空用ガソリンで「呉」行きの表示があり、荷役はフオークリフトなどを使って機械化されていた。
午後五時になるとデリックに荷物を宙づりのままでも一斉に終業していた。(これらの輸入ガソリンを使用、強大国相手に戦いを挑むとは正に無謀で、感無量なるものがある)