硝煙の海 菊池 金雄 22
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編集者
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軍から叱責
その後樺太から丸太を名古屋まで輸送した。名古屋港在泊中に長文の暗号電報を受信したが解読できないので、公衆電報でも再送を受けた。
しかし全く同文の暗号で解読に至らないまま荷役が終わったので基地の横須賀に戻った。
直ちに鎮守府から船長と局長が呼び出され、通信参謀からお目玉をくらった。理由は。該電報は佐世保への回航指令で、「なぜ暗号解読不可を申し出なかったか」と詰問され、早々に抜錨しなければならなかった。当時簡易な暗号解読の指導は受けていたが、長文の解読には慣熟していなかったためのハプニングであった。
おそらく乗組員たちは「ぶつくら」言いながら佐世保に向かったことと思う。 佐世保軍港に入港後、上陸許可が出た。寒いのでオーバーのポケットに手を入れたまま衛門を出ようとしたら衛兵から「何たる恰好か」と、どやされてしまった。丁度、本船の機関長が海軍少佐の軍服姿で通りかかり「どうしたのか」と衛兵に言ったら無罪放免になり、将校の威厳を目のあたりにした。
商船の士官でも、高等商船学校卒は海軍の予備将校であった。戦時、海防艦や輸送船で黙々と責務を果していたことは、あまり知られていないように思う。