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硝煙の海 菊池 金雄 33

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通常 硝煙の海 菊池 金雄 33

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/3/24 6:49
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 スルー海で爆沈

 ミリ~パラワン島

 私は今まで、戦闘場面に遭遇した体験がなく、戦火の海は遙か彼方のような気がしていた。したがって、知らぬが仏の平常心で船務に挺身できたものと思う。

 しかし、現実の戦況は日を追って厳しさを増し、護衛なしの海上輸送は困難な状況になっていた。

 十月二十日頃、C重油を満載して在来老朽船の共同丸(千トン級タンカー)と、二隻の 船団を組み、陸軍の護衛船(船名??失念)一隻に守られて、船団速力六ノット(本船は若干速力が早かったが、相手船の速力が遅かった)でマニラ港に向け出帆した。

 対潜水艦見張りを強化して、北ボルネオ西岸を北上。無事スルー海に入った。

 ところがパラワン島北部近海で、該護衛船から事前打合せもなく「護衛を打ち切り、船体整備のため昭南島に回航する」旨の通告があった。

 危険な油を満載した両船側としては、全く軍の身勝手な対応に不満が噴出したことは当然であった。
 
 そこで両船の船長が「護衛無しでは続行できない」旨を強く軍側に申し入れた結果、航空機で間接護衛することになった。

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