Re: イレギュラー虜囚記(その2)
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イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/8 22:02)
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Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/8 22:08)
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- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/13 16:25)
- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/16 12:40)
- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/16 12:47)
- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/16 12:51)
- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/16 12:58)
- Re: イレギュラー虜囚記(その2) (あんみつ姫, 2007/12/16 13:05)
あんみつ姫
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琿春病院の改造
三月一日、琿春病院を陸軍病院に改造のため技能兵五十人を出す。ソ側は尉官の女医が多い。院長は中佐でなかなかの紳士。
手術はユダヤ人の女医の大尉の担当。大変親切な女性だった。
スチーム工の佐藤上等兵が、手相拝見で婦人連中に大もてになった。彼は琿春重砲連隊の生き残り。連絡に出されているうちに終戦になり、部隊は砲もろとも自爆したとか。
三月になっても白頭山付近で日本軍の抵抗があるらしく、この日も約三十人の負傷兵が運ばれてきた。彼らは我々を見ても別段敵愾心を示すでもなく、中には笑顔を見せるのもいる。テレ臭いのかも知れぬ。
冷凍豚と牛の首の大盤振舞
三月も未近くになると、満洲にも春が来る。連日到着する冷凍豚が融け出して貨車は血だらけ。ソ側は処置に困ってニケ大隊に六十頭くれた。押収の白菜が駅に山積している。それ以来毎日三度三度豚と白菜の塩煮が主食となった。
田中主計は血の垂れている豚の山の中で仕事をしている。その頃は牛の冷凍も大量に到着していたので、ソ側は食い切れない牛の頭二十個と膝先数十本を寄こしたが、日本人は動物の煮こごり(ホロデツ)を食う習慣はない。
始末に困って、屋外に棚を作り、舌を出した牛首を並べておいたが、夜中厠へ行く者が嫌がるので足もー緒に穴に埋めた。日本兵はこんな旨いものを食わないのかとソ連兵に笑われた。
彼らは牛の両耳に金棒を突き通し、焚火の上でグルグル回しながら完全に毛を焼き切った後、大釜に放り込んで煮立てる。脳や目玉や髄のゼラチンが流れ出し、冷えて固まる。ロシヤ料理の高級品だが、料理が手荒過ぎる。
三月中旬、大尉を長とするゲペウがラーゲリの隣に移って来た。
(つづく)
三月一日、琿春病院を陸軍病院に改造のため技能兵五十人を出す。ソ側は尉官の女医が多い。院長は中佐でなかなかの紳士。
手術はユダヤ人の女医の大尉の担当。大変親切な女性だった。
スチーム工の佐藤上等兵が、手相拝見で婦人連中に大もてになった。彼は琿春重砲連隊の生き残り。連絡に出されているうちに終戦になり、部隊は砲もろとも自爆したとか。
三月になっても白頭山付近で日本軍の抵抗があるらしく、この日も約三十人の負傷兵が運ばれてきた。彼らは我々を見ても別段敵愾心を示すでもなく、中には笑顔を見せるのもいる。テレ臭いのかも知れぬ。
冷凍豚と牛の首の大盤振舞
三月も未近くになると、満洲にも春が来る。連日到着する冷凍豚が融け出して貨車は血だらけ。ソ側は処置に困ってニケ大隊に六十頭くれた。押収の白菜が駅に山積している。それ以来毎日三度三度豚と白菜の塩煮が主食となった。
田中主計は血の垂れている豚の山の中で仕事をしている。その頃は牛の冷凍も大量に到着していたので、ソ側は食い切れない牛の頭二十個と膝先数十本を寄こしたが、日本人は動物の煮こごり(ホロデツ)を食う習慣はない。
始末に困って、屋外に棚を作り、舌を出した牛首を並べておいたが、夜中厠へ行く者が嫌がるので足もー緒に穴に埋めた。日本兵はこんな旨いものを食わないのかとソ連兵に笑われた。
彼らは牛の両耳に金棒を突き通し、焚火の上でグルグル回しながら完全に毛を焼き切った後、大釜に放り込んで煮立てる。脳や目玉や髄のゼラチンが流れ出し、冷えて固まる。ロシヤ料理の高級品だが、料理が手荒過ぎる。
三月中旬、大尉を長とするゲペウがラーゲリの隣に移って来た。
(つづく)
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あんみつ姫