特攻インタビュー(第4回)・その11
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編集者
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陸軍航空特攻 久貫兼資氏
◆口之島に不時着(1)
--------その時、不時着して火災が。
久貫‥不時着する場合はね、落下タンクというのは落とすんですよ。だけど、ここで落下タンクを落としたら、後で補給が困るだろうし、砂浜の上だから何とか大丈夫だろうと判断して、落下タンクを捨てないで着陸する決心をしたんです。
ところが、エンジンがブスッ、ブスッといいだして、推力がグンと落ちちゃたんですよね。それで、目的の砂浜の手前を見ましたら、大きな石が、1メートルもあるくらいの石がね、ゴロゴロしてるところです。しょうがないな、ここへ一回、バウンドさして、あそこへ降りるかってことで。ところが、砂浜の、そうですね、40~50mくらい先に船が打ち上げてあるわけですね。その船もよけなくちゃならない。だけど、離陸するんだったら出来るなっていう確信を得ましたからね。で、降りたんですよ。
ところが、最初のバウンドした時に、石と擦れちゃったんですよね、落下タンクが。で、発火しちゃったんです。それで、飛行機を丸々、焼いちゃって、こんなザマになったんですけどね。
--------発火した後は一瞬ですか?操縦席が火に包まれるのも。
久貫‥いや、結構ね、間がありましたね。それで、もう操縦できませんから。前が真っ赤になってるしね。それで、また、先の石にぶつかった感覚もあったんですね。で、もう、これで万事終わりだ、飛行機もダメだからって、目、瞑ったんですよ。そしたらね、目の前に、おふくろの姿が見えたりしたんです……だが待てよ、一人も敵兵を殺してなく死んだんじゃ、何の役にも立たないなと思ってね。もう一回、やり直そうと決心したんです。
そしたら、面白いもんですね。そう思ったら、途端に熱いんですよ。それまでは全然、熱くないんです。で、そうやって見たらね、手の皮がね、ダランと下がってるんですよ。まとまって、両手とも、こうやって。で、やっとのことで座席から降りましてね。そこへ、海軍の水兵さんたちが救援に来てくれたわけです。そしたら、今度は機銃弾が破裂しちゃって、そばに寄れないわけですよ。で、自分で海の中に飛び込んでね、飛行服の火を消してね、それで助けてもらったんです。
--------両手にヤケドの痕が残っていますが、その時に。
久貫‥そう、そう。