特攻インタビュー(第4回)・その18
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陸軍航空特攻 久貫兼資氏
◆遺された声(2)
--------久貫さんがおっしゃった「いいところ」、「これだけは忘れてほしくない」というのは具体的には?
久貫‥うーん、そうね。あの、「遺された声」(NHK 2004年放送※注1・巻末ご参照)の時にも話したことがあるんですけどね。私も軽く考えて声を聞いたんですけど。聞いてましたらね、烈々としてるんですよ。みんなね、言うことは、親のことを想い、両親のことを想いね。それから、兄弟を想いね。それから、国を想いね。ああ、これがあるから日本は強いんだなと思いましたけどね。今、そんなアレがないですもんね。
だから、その時ね、ああ、私のしゃべろうと思ってる心と、あんまり足りなさ過ぎるから、何とか、これ、考えなくちゃと思いましたけどね。だけど、その場になって考えるわけにもいかないですよね。
--------ご自分の戦争体験とか、いろんな方に話されてるんですか、今まで。
久貫‥いや、そんなにしません。聞かれたらするかもしれませんけどね。進んではしてません。だけど、あれですよね。亡くなった戦友のことを考えたら、そういう人の話はしてやりたいと思いますよね。だけど、だんだん、だんだん、忘れていっちゃうんですよね。肝心なことをね。
--------テレビでも特攻隊や戦争関係の番組がたくさんありますが、例えば、特攻について、こういうところが勘違いされているんじゃないかとか、こういう描き方は直していきたい、直さねばならないというようなことを感じられたことはありませんか?
久貫‥一番はね、特攻はイヤイヤ、イヤイヤされたなんていうことを言われるのが、一番気に入らないですね。イヤイヤで死ににいけるはずがないんですよね。自分に納得しなければ。だから、結局ね、今の日本人の一番悪いところは、命懸けでモノをやるってことがないってことですよね。特攻は少なくとも、命懸けで取り組めたことなんですよね。それが出来ただけで有り難かったかなあと思いますね。命懸けってことはね。だから、今の人たちが逆に可哀相だなって思いますよね。命懸けがないんですもの。
だから、あれでしょ。スポーツなんか見てても、がめつく突っ込んでいこうっていうような人はいないですもんね。適当なとこで妥協しちゃってますもんね、みんなね。そんなことだったら、日本民族っていうのは繁栄しないんじゃないんですかね。伸びていかないんじゃないですか。だけど、考えてみると、そういう紆余曲折っていうのは何にでもあるのかもしれないけども、今の日本の風潮になるのには60年かけてこうなったんですから、これ直すのは大変でしょうねえ。
--------同じくらいの時間か、もっと、かかるかもしれませんね。
久貫‥倍も3倍もかかる気がしますね。だって、戦後の教育を受けた親の子供の子供くらいでしょ、今の若い人たちっていうのは。それの累積が、こういう変な社会になってきたんですものね。だから、直すのは、その親を直し、その親を直し、していかなくちゃなんないから、随分かかるんじゃないですかね。
--------それは、もしかすると我々の世代の役目になるのかもしれません。
久貫‥そうかもしれませんね。だから、お前は生きてて、今まで生きてたのに何をやってきたんだと怒られそうな気がするんです。お前、絶対、死んでもオレの傍に寄せ付けないぞって言われそうですよね。
--------あの時代、なぜ、特攻が行われたのか。久貫さんのお考えがあったら、お聞かせ願いたと思います。
久貫‥あのね、経済的に見たら一番安いんじゃないんですか、特攻隊が。変な話だけども。それと、もう一つね、あの当時、国を守るっていうことが、いかに大切かっていうことを身にしみてましたもんね。で、今の若い人たち見てね、あの、大丈夫なんかな、こんなんで。全然、何て言いますかね、昔の……連中がどうやって、どういう思いで死んでいったかというのが、今の若い人に全然、理解できないんじゃないんですかね。だから、それだけにね、亡くなった人が可哀相な気がするんです。
だから、こう思いますよ。今はね、あの、靖国神社なんかお参りしたり、思い出したりするとね、生きてるお前、一体、何やってたんだって。で、同期生の中で私が一番先に特攻で、最初に出ましたからね。みんな、大いに気勢あげてくれましたよね。「お前が行ったさきに、靖国神社でいい席とっといてくれよ」とかね、「頼むよ」って言う。「どうせ、お前たちが行っただけで、この戦争終わんないから、俺たちも後から行くけどな、もう、心配せずに行ってこい」なんて。死ぬ気ですよね、最初からね。そういうのが当たり前のようでしたよね。だから考えるとね、そういう連中に行き会ったらね、「お前、今まで生きて何してたんだ、この日本の国の様は何だ」って怒られそうな気がしますよね。「お前、何のために生きてきたんだか分からないじゃないか」って、「ちゃんとしてから死ね」って言われそうな気がします。