特攻インタビュー(第4回)・その13
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編集者
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陸軍航空特攻 久貫兼資氏
◆鹿児島へ
--------ロ之島から、どのようにして内地に帰ったのですか?
久貫‥6月になってからですね、6月10日前後かな……。これも調べないと分かりませんけどね。私が入院中に細かく書いたのが残ってますけど、それを見ないと分かんないですけど。諏訪之瀬島という島があるんですよ。そこへ不時着した連中がね、漁船を改修して自動車のエンジンくっつけて、諏訪之瀬島、宝島かな?中之島、口之島と渡って来たんですよね。で、口之島に来てね。で、私のことも、じゃあ一緒に乗せて行ってくれってことで、そこで、収容されて行ったわけですよ。
ところが、ロ之島と口永良部島……口之島から口永良部が一番近い島なんですけど、そこの問が、かなり離れているんですよ。で、そこの途中でね、アメリカ軍のグラマン……じゃないな。夜間だからマーチン飛行艇に、上空を旋回されてね、あぶない目に会いました。で、海軍さんもいたんでね。海軍さんの経験でね舟を流したの。エンジン全部止めて。夜光虫が光るんだそうですね。で、流したんです。で、その時の気象状況というのは曇りで雨が降るか降らないかっていうところ。で、方向……星も見えないから、磁石も利かないから、分かんないってわけですよ。
ところが船を流すとね、ここの海流は西から東に流れるから、船がどういう形で行くか、そこで、北がどっちだかということが判断できるからって、みんな1時間か2時間、そういう中で寝てね、流してたの。ようやく薄明るくなったところで島が見えてきて、島が見えると思ったら雲だったりね。で、もう一回よく見まして、島が見えると言えば、ああ、今度は本当だっていうことでね。それで、口永良部に着くか着かない時に敵の飛行機に見つかりましてね。寸前ですよ、上陸寸前に。射撃されましてね。命からがら助かりました。
--------その時は海に飛び込んで逃れたのですか?
久貫‥いや、もうほとんど同時に島に着いてたんですよ。着いてたけど敵の来るのが速いんですよね。
--------それで、口永良部にしばらくいて内地へ?
久貫‥そうそう。ロ永良部にいてね、海軍の監視艇が迎えに来るっていう情報が入ってね。それが入る港が島の北側なんです。そこまで歩くのが大変でした。3月の末から4月、5月……2カ月半ぐらい動かないで寝てましたからね。これがもう、介護してくれた軍曹、先輩の軍曹だったんですけどね、都城の助教やった人で、この人も大変だったと思います。名前忘れちゃったんですけどね。
それで、監視艇に拾われて山川港(鹿児島県指宿市) に入って、そこで医者に見てもらって。で、鹿児島に着いた途端に、病院……担架が待ってました。で、そのまま入れられちゃいましたね、病院に。そしたら、また、これが傑作なんですね。部屋を割り当てられたんです。個室を割り当てられたんですよ。船の事務長が入ってましたね、1人。で、もう1人、私が入って2人になった。で、部屋付きの看護婦さんがね、第二四教育飛行隊にいた時の少年飛行兵の妹だったんですよ。稲森さんといいました。よう世話してもらいました。