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特攻インタビュー(第4回)・その16

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通常 特攻インタビュー(第4回)・その16

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/3/30 7:45
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 陸軍航空特攻 久貫兼資氏 

 ◆運命

 久貫‥満洲から太刀洗に着いた時、耐寒装備を施したんです。満洲は寒いでしょう。で、内地に来たら暑いから冷却機をつけないと滑油を冷やすことが出来なくなるわけです。それで冷却機をつけてくれたんですよね。それで、その翌日、全機、試験飛行の予定していたら、「B29の空襲がある。太刀洗には今、戦闘隊がいない。戦闘隊と名のつくものは誠四一飛行隊だけだから上がって遊撃せよ、制空しろ」っていう命令が出たんですよ。突っ込む前に空中戦が出来るって、みんな喜び勇んで乗ったわけですよ。そして、私の飛行機に乗ったらですね、整備してる最中なんすよ。それで、「もう少し待ってください」って、整備を一生懸命やってるわけなんです。「もう少しで出来ますから、もう少しで上がれますから」 って……。

 そうしたらね、全機、真っ黒になって降りてきたんですよ。それはね、冷却機をつけてね、エンジンの間から出ている銃身との関係を点検しなかったのです。特攻隊だから空中戦はやらないと思っていたからですね。戦闘機部隊っていうのは上がりますと試射するわけです。で、試射してエンジンの前に冷却機がついていますから……写真を見ていただくとわかりますけども、それを射抜いちゃったんですよ、みんな。だから、真っ黒になって降りてきたわけですよ。で、私の飛行機だけ上がれないでそのままだったんです。じゃ、この際だから、よく整備しておいてくれなって頼んで帰りました。

 私の場合は3月28日の本番にそれをやっちゃったんです。だから、それがいいか悪いかわからないんですけどね、今になって考えてみると。ちゃんと整備をやってくれなかったら生きてるわけですよね、考えてみれば。だから、あの時、一緒に上がってたら、私の飛行機も沖縄までスーツと素直に飛んでいけたわけですよ。だから、どんなところで運命の岐路となるか分かんないですよね。

 その前にハルビンを離陸する時も、自分の好きな飛行機に乗れってわけですよ。それで、私は毎日乗ってるからわかるわけです。どの飛行機が性能がいいか。で、性能のいい飛行機の前に立ったらね、エンジンをまだくっつけてないんですよ。で、整備の者に「間に合うか」 って聞いたら、「いや、絶対に間に合います、間に合わせます」っていうわけですよ。で、しょうがないから、「待ってるから早くやれよ」 って言って頼んだんですけどね。そしたら、いつになっても出来てこない、上がらないわけですよ。そしたら、金別という幹部候補生出身の少尉が来てね、「久貫軍曹、これ、間に合わないから、他の飛行機に乗った方がいいよ。遅くなっちゃうよ」 ってわけで、自分でね、私の道具を持って他の飛行機に取り付けちゃったんですよ。で、それに乗って行ったわけです。結局、そのいい飛行機には間に合わない……乗れなかったんですね。だから、それも良かったんかなあとも思うしね、分かんないんです。今になってみれば。

 --------よく「軍隊は運隊」という人がいて、運次第だっていうふうに回想される方もいますけど、やっぱり、久貫さんもいろんな運が……。

 久貫‥運が良いんだか悪いんだか、分かんないですけどね。そういうこと後になって考えてみるとね、どうだったんだろうかなって思うわけなんですよね。

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