特攻インタビュー(第4回)・その17
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編集者
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陸軍航空特攻 久貫兼資氏
◆遺された声(1)
--------我々、戦争を知らない世代、また我々の子供や孫の世代に、これだけは語り残しておきたいというのがあれば、ぜひ、お聞かせ願いたいと思うのですが。
久貫‥あのですね、死んだ人の思いを汲み取ってやってほしいってことですね。何のために死んだかね。私は、戦後、アメリカ軍のPXにも勤めたことがありますよ。そこでね、なんでアメリカ兵に負けたんだろうなってことをね、考えたことがありましたね。
ある日ね、私、倉庫係やってたんですよ。英語はたいしたことなかったんですけど、倉庫ぐらいだったら大丈夫だろうって。ボークセール(大量販売)やれっていうわけで、倉庫係とボークセール。そしたら、ある時、当番兵としてよくやって来るアメリカ兵がしばらく来なかったんでね、「お前、どうしてたんだ。しばらく顔見せないけど」って言ったらね、「罰を喰って、草取りやらされてたんだよ」 ってわけなんです。「お前、まともに草取りやってたのか」って聞いたらね、「それは当たり前だろ」って言いましたもんね。そういうことを、「当たり前だよ」って言えるようなね、アメリカ兵がいるってことは、アメリカ兵もやっぱり、いいところがあるんだなって思いましたね。
それからね、こういうことも聞いてみました。将校に聞いてみたんですけどね。「アメリカでは、階級は飛行時間に関係ないのか」 って。日本では関係ないでしょ。だから、聞いたことがあるんですよ。そしたら、「いや、飛行時間によって階級は変わってくるんだよ」 って言われましたけどね。なるほどな、そうすれば、指揮をするのにも何をするのにもね、飛行時間がやっぱりモノを言うわけですよね。だから、そういうところにも日本の軍隊の、なんて言いますかね、至らなさがあったのかもしれませんね。やっぱり、アメリカにもアメリカのいいところがあるんですよね。
それからね、会話学校にも行ったんですよ、アメリカ軍のね。基地の中に学校があって女の先生が教えてくれる授業があったんです。その時、日本ではね、罰として殴ることを禁止するような風潮があった時代ですよね。で、その女の先生に聞いてみたんですよ。「アメリカでは決して子供を殴らないんですか」 って聞いたら、「いいえ、そんなことはありませんよ。お尻はたきますよ」 って軽く言われましたもんね。だから、ああ、日本とえらい違うんだなあって思いました。だから、日本は何でも行き過ぎちゃってるんじゃないんですかね。だから、日本のいいところはみんな捨てて、アメリカの言うなりになってるんっていうのが、何とも気に入らないですよね。いいところを掘り起こして欲しいと思いますよ、今の若い人たちがね。