特攻インタビュー(第7回)・その18
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編集者
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海軍航空特攻 野口 剛氏
◆零戦について(2)
--------ショルダーをゆるくして、激しく動く空戦で困らないのですか?
野口‥大丈夫です。腹のベルトをしっかりしてるから。たとえ背面になっても、重力がかかってますからなんともないんですよ。背面飛行をやって操縦桿をぽんと前に押せば遠心力がなくなってぶらさがってしまいます。宙返りをやるんだったらベルトがなくてもいいくらいです。速度が速いので遠心力でぐーっと抑えられているから。
--------特殊飛行や曲芸飛行をするとブラックアウトというような視界が真っ黒になると言いますが、そのような経験はありますか?
野口‥引き起こしの時にはなりますね。目の周りに星が飛びますね。だからフットバーに足を掛けておくよりも計器盤に足引っ掛けて。飛行機はすべってくれるから何とか上がってくれるけれども。
--------映画でのように行儀いいものではない?
野口‥そうですね。もう一つ、映画などでは空戦が始まると風防を開けるときがありますが、あんなのはあり得ないのです。Gかかってしまって風が入ってきてしまって、とても出来ないんですよ。だから風防かけて眼鏡外しておかないと良く見えないんですよ。
神雷部隊の本の中に、神雷攻撃のとき、アメリカ軍が言っていることは、日本の飛行機が火を噴いて落下傘降下したというのがあるんですが、あり得ないんですよ。なぜかというと、帝国海軍は攻撃に行くとき落下傘の装帯を付けていかないんです。陸軍は分かりませんが、海軍がよそへ攻撃に行って落下傘で降りることはあり得ない。神宮攻撃に行くときも我々は落下傘を付けていかなかったですから。アメリカ軍が、日本軍が落下傘で降りたと言っているのはあり得ないと思います。
--------遊撃戦では落下傘を付けるのですか?
野口‥はい、付けていきます。自分の国の中であれば。
--------例えば沖縄とかに出撃する時は付けない?
野口‥はい。だから身軽でした。バンドが無いですから。乗っかったら落下傘の装帯を、ここにカチャっと飛行機につけておけば飛び出せば開くようになっているわけ。尻の下に落下傘を敷いてますからね。
--------では、野口さんが戦争映画で空戦シーンをご覧になると苦笑する場面が多いと。
野口‥そう、そう。なんで風防開けるんだよと(笑)。
--------零戦以外の新しい飛行機に乗りたいと思ったことはありますか?
野口‥あります。筑波にいる時、雷電は操縦訓練まではさせてもらいました。
--------雷電は搭乗員からの苦情が絶えなかったといいますね。
野口‥前が見えないです(苦笑)。雷電は離着陸しかやったことがないですが、まっすぐ進むと前が見えないので、左右に動きながら先に進まないとね。紫電も水上機から改造したものでしたし、紫電改は脚を短くしたものでだいぶ良かったらしいですね。
--------戦った相手は、グラマンF6Fが一番多かったですか?
野口‥最初はF4Fでした。F6Fは零戦の上をいってましたからね。