特攻インタビュー(第7回)・その19
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編集者
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海軍航空特攻 野口 剛氏
◆民間生活で役立った軍隊経験(1)
--------特攻について、日本だけでなく外国でも色々論議されていますが、野口さんが、これだけは言っておきたいということはありますか?
野口‥特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会に入会して、初めて世田谷観音にお参りに行った時に、若い方々が、会員の紹介だとかで協会に入会されていたり、一生懸命、慰霊活動などをしてくださってるということに感激しましたね。それと、零戦会という会があるのですが、搭乗員だった方はご高齢になられてしまいましたから、事務処理から会議の処理まで全部若い方々にしていただいているのですが、本当にそういう若い方々は偉いなと感心しているんです。そういう会議に行くとね、よくしてくれるのです。本来は私達がやらなければならないようなことなのでしょうが、80歳を超えた人たちばかりですから、そういう若い方々がやってくれて我々のしてきたことを少しでも受け継いで、後に伝えてくれたらなぁと思いますね。私一人が語り継いでもたいしたことはないと思うんです。
戦争をして良いなどとは決して思っていません……。やはり、厳しいですよ……戦争は。人殺しをやるわけですからね。
余談になりますが、私は社団法人日本航空機操縦士協会の理事をしていました。専務理事、副会長で最後は辞めたのですが。昭和60年にジャンボ機が御巣鷹山に墜落しましたよね?あの時、事故調査委員会が出した事故の嫌疑というので、ああいう状況になったときに、どういう訓練をしておいたらよいものかとアメリカに行って調査してくるという話になったときに調査委員になりました。では、アメリカのどこへ行くかということで、メーカーに行こうということになり、ダグラス、ボーイング、最後にNASAですね。サンフランシスコのエイムズ、NASAへ行くと決まって行ってきました。
メーカーは飛行機の安全性の説明のみで終わったのですが、NASAでは「日本には航空大学があるではないか、そこではどのような教育をしているのか」ということと、飛行機にも自動車と同じように耐空証明というものがあるのですが、「航空法上で耐空証明がなくなっている飛行機を、どういうふうに操縦するのかということを日本の航空局は調べて来いというのか?」と言われました。続けて、「耐空証明の無くなった飛行機を操縦するということは考えられない。耐空証明のある飛行機の操縦が当たり前であって、それよりも色々な事故のスタディをするということへ頭がいかないのか」と。NASAにはアメリカ中で起きている事故のデータがあるから、幾らでも送るので必要であれば言いなさい、とのことで言われて帰国しました。
帰国して、レポートにはNASAにこのように言われてきましたと報告したところ、操縦については何も意見はなく、事故のデータをスタディしていれば自ずと得るところがある人は自分自身で考えるでしょうという内容で終始したと報告しました。次に、自分の会社で、私は査察操縦士をしていたのですが、訓練規定の中に、次はどういうことをやりますよとエマージェンシーにかけて書いてあるわけですよ。だから次から次に、次、何がある。次に何がくるというのは分かっているわけですよね。ですから、操縦させても上手なわけですよ。「あぁ、そういうことか。それじゃあ、それを一つずらしてみようか」とずらしてみると、滅茶苦茶になってしまうんですよ。言われたとおりのことは覚えているけれども、順序を変えたら駄目なんだと。事故はその順序どおりには来ないのだと。その訓練マニュアルを変えさせるということをやりましたね。それが、非常に効果があって、調査に行って良かったと感じましたね。