特攻インタビュー(第7回)・その20
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編集者
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海軍航空特攻 野口 剛氏
◆民間生活で役立った軍隊経験(2)
--------実戦では思い通りにはいかないということと同じですね。
野口‥ええ、そうです。もう、何が起きるか分からないからね。
--------搭乗員だったときの経験が、その後の人生に大きく役立ったということですね。
野口‥はい、大きいですね。やはり、習ったことは忠実に守らなければならないと思いました。基本はどこまでも基本なんだと。基本があって応用があるのだという感がありますね。神雷攻撃にしてもそうです。操縦中は後ろが見えないですからね。前を向いて操縦していて、後ろから敵機が来たらどうするのかという、そういうことは言われましたね。今の民間航空機のように前だけ見て操縦していればいいのとは訳が違います。後ろから敵機が来るということはないですからね。戦争とはやはり状況が違いますね。
私は、海軍に行って悪かったことなんて一つもないんですよ。例えば日常生活の上においても、洗濯をして洗濯物を干すにしても船が基準ですから、何時に洗濯物を干して何時に取り込むのか、取り込むときには乾いていなければならないわけですから、それには干し方もいろいろあるわけです。そういうことも習ったんです。ほかには、年がら年中、掃除はしていなければならない。それと、団体生活している上では船の上で一人でも風邪を引けば皆が風邪を引いてしまうではないかということ、ほかの病気でもそうです。これらは民間の生活をしていく上でも重要で、それを学んで来れたのだから海軍に行って良かったなと思っています。なので、皆に話して開かせていますよ。
--------若い人達を見ると、軍隊生活を経験させた方がいいと思うことはありますか?
野口‥ある、ある (笑)。
--------どういう姿を見るとそう思いますか?
野口‥そうですね。電車の中で座り込んでいるのとか見ると、「立てないのかなあ。それだけ腰抜けになつちゃったのかなあ」と思いますよね。だけど、もう時代は変わったのだから、そんなこと考えてはいけないなとも思いますね。
僕らの学生時代は代々木の練兵場に銃を持って行く教練がありましたけど、そういうのがなくてもいいから、毎日、起きる時間、寝る時間、勉強する時間というのを規則正しくやるような生活をどこかで経験してくるというのも一つの方法じゃないかなと思いますね。だから、予科練なんかでも兵学校と同じように、日中は普通学の勉強をさせるわけですね。で、午後からスポーツをするとか、午前中は普通学を学んで午後は軍事学を教わるとか。夜は夕食をとったら6時から3時間は温習といって、教室へ行って今日習ったことを復習する、明日のことを予習するっていう習慣付けがあったわけです。ああいう教育は非常にいいなと思うわけです。他には、階段を一段ずつ上がると殴られたりしましたね。一段抜かしや二段抜かして、すっ飛んで歩かなければならなかった。隊内で二人で歩くときも並んで走らなければならなかった。そういうことが日常生活に役立ち、一つ一つ節度のある生活ができるようになるのではないかと思いますね。だから、軍隊は否定しないです(笑)。