@





       
ENGLISH
In preparation
運営団体
メロウ伝承館プロジェクトとは?
記録のメニュー
検索
その他のメニュー
ログイン

ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失

被爆55年 忘れられないあの日 6 ―広島・長崎被爆者の詞画集―

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

編集者

通常 被爆55年 忘れられないあの日 6 ―広島・長崎被爆者の詞画集―

msg#
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010/10/22 8:35
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298
電車の中で黒焦げに

   八月六日 広島
        十二歳 中学生
         
 爆心地に近い紙屋町(かみやちょう)の停留所で、電車が焼け爛(ただ)れていた。
                                         
 電車の乗客は、立ったまま、座ったままで黒焦げになっていた。

 運転手の身体(からだ)が、タラップの形のままに折れ曲がって焼け焦げている。

 停留所付近に転(ころ)がった死体は、みんな黒焦げになり縮(ちぢ)まっている。

 赤ちゃんを抱いた母親の縮んだ遺体が哀(あわ)れであった。

 数千度といわれる灼熱(しゃくねつ)を浴びた広島市民の悲惨な最期の姿だ。









被曝十分後、防空壕内で
    
   八月六日 広島
        十八歳 少年兵
                 
  爆心地から約一・八キロの比治山(ひじやま)の麓(ふもと)。
                   
  閃光(せんこう)、続いて「ドーン」の大音響と、もの凄(すご)い爆風。
                 
  兵舎(へいしゃ)外にいた少年兵は皆地面に叩(たた)きつけられた。
                
  上半身裸(はだか)でいたからたまらない。閃光(せんこう)を受けた上半身は全面の大火傷(おおやけど)。塵(ちり)と砂塵(さじん)が舞い上がり一寸先も見えない暗闇(くらやみ)。ゴー、ゴーとうなる地鳴り。
        
  その中を防空壕(ぼうくうごう)へ避難(ひなん)した。
                  
  痛みに耐(た)えられず、ガタ、ガタ震(ふる)える者、イテェ、イテェと叫ぶ者、唇(くちびる)を噛(か)みしめて耐える者。肌の焼けた異様(いよう)な臭(にお)いが鼻をつく。

  舎内にいた者は、ガラスの破片を全身にあび、噴き出る鮮血で真っ赤だ。私も出血がひどく、貧血で倒れてしまった。


   壕(ごう)のなか火傷(やけど)と汗の臭い満ち
          兵らは呻(うめ)く唇(くちびる)を噛み


       




              

  (次回につづく)

  条件検索へ