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特攻インタビュー(第5回)・その17

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通常 特攻インタビュー(第5回)・その17

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/4/28 9:05
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 陸軍水上特攻 皆本義博氏

 ◆終戦

 皆本‥我々の終戦は8月23日でした。無線機のバッテリーもあがるし、8月15日に天皇陛下のご命令で終戦になったという事はわかりませんでしたが、飛んでいるアメリカ軍の飛行機も銃撃せず、日本降伏の伝単(ビラ)を投下しました。どうもおかしいということで戦隊長と相談して、国際法に従って白旗と日本の日章旗を持って、木林明中尉がアメリカ歩兵第24連隊長・カンノリー中佐の所に行きましたら、もう終戦になっているということで、それが8月19日でしたかね。それで、8月23日に兵器とか軍刀なんかを向こうに渡しました。そしたら、カンノリー連隊長がタバコとキヤンディを持たせてくれました。戦場で戦うけど、やっぱり、お互いの男の友情があるなということでした。

 --------その後は、アメリカ軍の捕虜に?

 皆本‥はい。向こうは紳士的にやってくれました。沖縄本島に収容所をアメリカが作りましてね、そこで収容所生活を送りました。戦友が戦死すると火葬できなから見えないように指を切って、ちょっと火をおこしてお骨にして、ガーゼに包んで軍服の裏に縫い込んでね。私も4人か5人の遺骨を持っていました。帰国の時は、それを持って復員局に提出しました。

 戦いが始まる前、昭和19年10月の初めですか、海岸を巡察しとった兵隊が「中隊長殿、海軍さんらしい、片足が切れてる死体が漂着しました。どうしますか」と言うから「よし、俺が行く」というんで見ましたら、砲弾か何かで片足が切れていました。そして「舞水三四四」と。所属はどこか、海軍じゃないから判りませんが、私の部下に、久保慧観という浄土真宗本願寺派の広島のお寺の長男がいました。彼がおるから、今から火葬するから各部隊集めろ、というわけでやりましてね。その遺骨も、私が軍服に入れて復員局に持参しました。その後、しばらくして、金沢の佐藤さんというご婦人から「私の主人は水雷艇『真鶴』に乗っていましたが撃沈されて、私の主人だけ遺骨が届きました。これは、皆本中隊長さんのおかげです」と連絡があって。非常に嬉しかったですね。わあ、良かったなと思いました。

 --------海上挺進隊第三戦隊では、何名くらい戦死されたのですか?

 皆本‥私らのところは少なかったですよ。ただ、私も手を負傷しましたね。
 浮田軍医に「先生、麻酔剤はあるんですか?」と聞いたら「もう、ほとんどありません」というので、「じゃあ、分かりました。困った人に使って下さい」って。で、私の負傷の手術・縫合は麻酔なしでやると(笑)。やりましたがね。負傷する時は瞬間的ですが、縫うとなると痛い。だけど、麻酔なしでやると言った男一匹、「痛い」とは死んでも言う訳にはいかん!という訳で、兵隊に「もうちょっと抑えろ」と。

 そしたら、若山という衛生曹長が「中隊長殿、麻酔なしで手術した方が、治りが早いです」と言ってくれました。復員しました時も、負傷者の手続きをすれば、傷痍軍人の手当があるけど、これくらいの事でもらう立場じゃないと。とにかく、沖縄戦であれだけ苦労しておるから、曲がりませんでね、左手。後遺症が残ってますからね。はい。

 --------終戦まで、沖縄本島との連絡は全くなかったのですか?

 皆本‥はい、最後はそうです。ただ、3月23日ですか、どうも様子がおかしいから、戦隊長に相談して軍司令部に打電したんです。そしたら「甲号戦備に準じて行動すべし」と。甲乙の甲というのは「いよいよ作戦開始」の意味です。だから、私の認識では「甲号発令」じ.やなくて、「甲号戦備に準じて行動せよ」が最後の戦になってしまったと。はい。

 --------折角の「マルレ」が自沈させられたことは、やはり残念でしたか?

 皆本‥これはやむを得ないですよ、あの状況ではね。あれだけ駆逐艦が遊弋して、海峡を封鎖しておれば出られないですよね。こちらも巡洋艦や駆逐艦が護衛しておれば別ですけど。出て行ったら、全部すぐに・・・。こちらは、ベニヤ板製でしょう。火砲はない。これはもう、すぐにやられると‥・。

 --------「マルレ」は生還することが前提でしたが、実戦では体当たりするという気持ちでしたか?

 皆本‥はい。とてもですね、こちらが余程、シチュエーションが良い場合は別だけど、あの戦場でアメリカが、あれだけの艦艇でやってる場合にはとても生きて還る事は不可能ですね。

 --------特攻だと始めから覚悟されて?

 皆本‥ま、やっぱりですね。やっぱり特攻なんですね。

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