電気通信大学藤沢分校物語 (3) 2
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編集者
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○番外(逓信省電務局隅野無線課長)(注33)
先程ご紹介を頂きました逓信省電務局無線課長の隅野と云う者であります。只今市長から、私の方から差上げました公文をご朗読になりましたので、要旨はあれで尽きて居るのであります。時間の関係もありますので詳しいことを申し上げることは差控えます。ごく概略について簡単に申し上げます。
ご承知のように無線電信電話と云うものの今日の地位と申しますか、その必要性に付いて、皆さん方は既によくご承知のことと思いますので、詳しいことは申し上げませんが、恐らく今日の通信手段としては最重要なものであり、世界各国共に非常に力を入れている問題であります。この通信手段は平時に於いても非常に重要なものであることは申す迄もないことでありますが、殊に、戦争遂行上の手段と致しまして、無線電信電話と云うものがどれ位其の形が変わり、如何なる効果を挙げて居るかと云うことは日常の新聞、雑誌、書物等で詳しいことは書いて居りますので、申し上げる必要はないかと思いますが、この方面に付いて、現在の日本は残念なことでありますが、世界各国に較べまして相当遜色があるのであります。機械、機材の整備、之が操縦、人員等の上に於いて相当遜色があるのであります。そこで斯の業に従っている者は、日夜非常なる苦心、努力を続けまして、其の成績の点に於いては、係の者として吹聴がましいことを言うようでありますが、技術的には必ずしも世界各国に較べて遜色があるとは言えない、私共当局に居ります者として、之が技術の向上、人員の増加、質の向上と云うことに多大の苦心を払って居る訳であります。所が只今迄の所、之を操縦致します人員の養成と云うことに付いては非常に遅れている憾があるのであります。今迄官立の学校は一つもなかった訳であります。陸海軍の方では需要に基づいて養成はやって居られるようでありますが、一般に於ける無線通信士を養成致します官立の学校と云うものはなかったのであります。
世上に、いろいろと看板を掲げまして、無線通信学校と云うようなものが可成沢山あるように見受けられるのでありますが、これは皆何れも私立の学校であります。故に設備其の他一切の方面に於いて非常に不完備のものが多いのであります。実は甚だ申しにくい話でありますが、こうした看板広告につられて、田舎の青年が希望に燃えてこうした私立の学校に身を投ずるのであります。而して是等沢山の私立の学校と云うものは、現在我国の無線通信士の養成所として是等田舎の希望に燃えた青年子弟を託するに足るだけの域に到達して居ないのであります。
ただ一つ逓信省の外郭団体で逓信協会と云うのがあります。元の逓信大臣田健次郎閣下がやって居られる東京目黒の無線講習所が信用するに足る立派な学校であったのであります。そこで近年政府に於いては、この目黒の無線講習所を何とかして拡充強化をして立派なものとしたいと云うので、補助金を出し、逓信省の現役の教官を派遣し其の養成に力を入れて居ったのであります。
所が、支那事変が始まりますと同時に其の需要と申しますか、其の活動範囲も非常に拡大され、従って人員の不足が一段と加わり、更に昨年12月8日大東亜戦争勃発以来、皇軍の活動範囲も非常に広範囲に亘り、地域の連絡にはどうしても無線に依る他ないと云う現況で、りまして、皆様方もご承知のように、現に皇軍が進駐致して居ります南方地域は島々でありまして、交通も不便で有線電話に依る通信手段は困難であります。そこで、殆ど其の通信は無線電信電話に依って居る訳であります。殊に最近は軍艦及び一般の船等の通信の需要が非常に増加し、通信士の養成が急なること、その人員の数の点に於いては実に莫大な数の需要を訴えて居るものと信じて居ります。海軍方面に於いては、ご承知の通り商船其の他一般船舶の保護を致します関係上、どうしても其の連絡を無線通信に依らなければならぬことになりますので、一方に於いては船舶に乗り組んで其の操縦に当たらなければならぬ、それをやるには相当有能な技術者でなければならぬ訳でありまして、海軍方面に於きましては、作戦上の一大部門を占めるものであると云うように、極論致されてまして、昨年度、逓信省に無線電信電話通信士の養成に付いては速やかに予算を獲得して其の養成に当たるように要求されて参ったのであります。
そこで逓信省と致しましては、東京目黒の無線講習所に眼をつけまして計画を進めて参ったのであります。ご承知のように、こうした要求がありましても、今直ぐにそう云う新しい学ケを即座に造って養成を始めると云うことはなかなか出来にくいのであります。そこで兼ねて、逓信省が保護助成して居りました目黒の講習所を昭和17 年度4月1日から官立学校に移管致しまして、教育其の他一切を、逓信協会(筆者注:電信協会の誤り)から本省に移すと云うことに相成った訳であります。そうして其の予算もご承知の如く議会を通過致しまして、昨日官制も公布され、新たに官立の無線講習所が生まれて来る訳であります。
そこで問題は、先程から縷々申し上げましたように過去に較べて、其の養成人員も遥かに多くなり、大体約2,000人位を収容する予定でありますが、従来の目黒の講習所の設備だけでは、それだけの人数を収容することが出来ないのであります。そこで其の収容し得ない人間を何処か他に場所を求めて収容しなければならぬ関係が一つと、他に養成する生徒の中で其の訓練場の関係、即ち船に乗り込んで、通信訓練をさせなければならぬ関係上、成るべく海軍方面とも連絡の便の良い適当な場所に学校を建てて貰いたい、そうして日常座臥(筆者注:ふだん、いつでもの意)海員に関する訓練をやって欲しいと云う要求があり、海軍の方ではそうして養成した人間を要員として充て、いと云う要望切なるものがありましたので、何処か適当の地を求めて、校舎を建て、寄宿舎を設けなければならぬと云うことを考えて居ったのであります。
そうして尚、問題として残りますのは目黒の校舎が其の儘残っていることであります。そうすると学校が二つに別れると云うことは非常に不便と面倒が生じますので、一ヶ所に全部の生徒を収容し得るようにと云う計画の下に、予算を計上し、臨時費として大蔵省に出したのでありますが、残念なことでありますが、当今、皆さん方もご承知のように、国家の財政も当面の戦争目的完遂のために全力が注がれて居る際で、斯ヘな臨時的な設備のために急に多額の経費を計上すると云うことは甚だ難しいことであります。大蔵省に於いても本件建設の趣旨は十分に認めてくれたのでありますが、今直ちに多額の経費は出せない、そこで大蔵省でもいろいろ心配をしてくれて、何等か適当の機関又は公共団体に其の校舎、寄宿舎の建設を願って、政府がそれを借用するようにしたなら如何か、即ち適当なる貸主を求めて、逓信省が之をお借りするようにしてはどうかと云うので、大蔵省でもそれを認めて相当額の金の支出を認めてくれたのであります。私共としても急を要することでもありますので、関係方面とも連絡致しまして適当の土地を物色したのであります。そうして海軍関係とも密接な関係のある湘南海岸が非常に好適の地であると考え調査致しました所、偶々鵠沼海岸の某地点、皆様方もご承知かと存じますが、川沿いに好適の地がございましたので、関係当局とも相談致しました結果、非常に結構であると云うことに、略々話は決まったのであります。
併し土地は非常にいいのでありますが、其の土地を買い求めて校舎を建て、寄宿舎を建てて頂く人がなければならぬ訳であります。この点に付いて私共非常に心配を致しましたが、当サの方で、そう云うことであれば藤沢市の方で土地を買って、建物を建ててもいい、国家の重要な仕事であり一日も忽せにすることが出来ない、左様な事情であれば国策に寄与する意味に於いても其の役割を買ってあげてもいい、と云うようなことでありましたので、私共も非常に欣びまして、早速逓信大臣始め関係各大臣に報告を致しました所、藤沢市でそこまで尽力して下さると云うことであれば願ったり適ったりである、是非共其のようにお願いして見ようと云うので、私共関係官が一応具体的な説明を申し上げ、更に電務局長から公文で御願書を差し上げ、本日、市会に本件の提案をするからと云うことを承りましたので、罷出まして説明とお願いを兼ねて皆様方の御尽力をお願いするような次第となった訳であります。
そこで私共として皆様方にご説明を申し上げる前に一番心配致して居りますことは、この仕事をお引受け下さいまして将来市の財政にどう云うふうに、それが響いて来るかと云うことであります。これは皆様方市会議員として、先ず、第一にご心配になる点であろうと思いますが、この点に付いては、私共は寧ろ市以上に心配を申し上げて、出来るだけ有利にと申しますと、甚だ語弊があるかもテれませんが、出来るだけ市の方にご迷惑がかからないように、市の財政に影響のないように、物質的なご損失と云うことは極力避けますことは勿論でありますが、其の他本件に関し市の方でもいろいろ出費を要されることもありましょうし、またご厄介なことをお願しなければならぬこともあると思いますので、出来るだけ融通のつくように計算を致して居るのであります。
大体以上が大要でありまして、細かい数字に付いてはご質問に応じてお答え申し上げたいと思います。財政的にはこの数字で参りますとそう負担のかかるものでなく、将来に於いてもそうお困りになる程度のものではないと信じて居ります。
どうか其の意味に於いて、今、申し上げた、国が一番重要性を認め、而も緊急を要する本件建設のために十分なる理解を以て寄与下さいまするならば、洵に有難き極みであると、こう思うのであります。実現致しました暁に於いては、2千人近くの生徒、これが養成に従事致します所員と致しまして所長以下約150名の者が罷り出まして、大変、御市にご迷惑をかけることと思いますが、何れに致しましても、結局は御市に面倒を見て頂かなければならぬことと思いますので、本件を直接お引受、下されば、私共非常に結構なことと思います。
逓信省と致しましても大蔵省と連絡致しまして、極力市の方に便宜を与えますように予算を編んで参るつもりで居ります。ご承知の通りに国の予算計画は、年毎に更改致しますので、今直ちに、我々の希望して居るような額は得られないのでありますが、将来、無線電信電話の重要性に鑑み、この講習所は無線大学として大きな役割を持つようにならなければならない、斯様な希望と抱負を持って居ります。どうか私共の意の有る所を諒とされまして、本件実現のために寄与して頂くようお願いを致しましてご挨拶に代える次第であります。