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電気通信大学藤沢分校物語(10)2

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通常 電気通信大学藤沢分校物語(10)2

msg# 1.13.1
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2
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/12/19 6:34
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298
 10・2官立無線電信講習所の設立に當りて

 中村純一官立無線電信講習所所長は無線電信同窓会に次のように寄稿した。(注1003)

 昭和17年4月1日は我国無線界にとり記念すべき日となった。それは我国に於ける無線通信士の養成を国家が自ら経営することとなり、官立無線電信講習所がこの日を以って関係各方面就中無線通信界の祝福を受けて、新らしき第一歩を踏み出したからである。我が国に於ける無線通信士養成事業の歴史を茲に事新しく説く必要もないのであるが、電信協会が逓信省の慫慂(筆者注ショウヨウ、誘い勧めること)に依り民間関係各方面の協力の下に、群立せる養成施設を総合し、大正7年12月8日を以て所謂社団法人電信協会管理無線電信講習所を創設したのであるが、爾来同協会は全力を挙げて本邦無線通信士の養成に当られ、設備の改善に、学制の改革に、経営上幾多の苦心を傾注し、逓信省亦資格検定の銓衡に、補助金の交付に或は昼夜にも講師の派遣に、真に協会と一身同体となりて無線通信士の養成に尽くしてきたのであるが、支那事変勃発以来無線通信士の需要愈々急迫を告ぐるに至り、養成人員の飛躍的増加を図る必要に迫られ、他面時局下無線通信運用の完璧を期する為無線通信士の質的向上を期する必要が痛感せらるるに至り、関係方面の積極的援助協力の下に官立無線電信講習所の設立を見ることとなったのである。

 茲に我々の忘れてならないことは電信協会が多年苦心経営せられ、内容外観とも真に我が国無線通信士揺藍の殿堂とも謂うべき校舎等施設の一切を無条件に挙げて政府に寄附せられたことで、我々は固より、聞く者をして洵に感に堪えざらしめるものがある。

 私は伝統に輝く官立無線電信講習所の初代所長として教職員の協力を得て、所風の刷新、施設の改善拡充、教育内容の充実、生徒の心身錬成に鋭意努力しつつある。即ち生徒に対しては質実剛健しかも明朗豁達に日々の学業にいそしみ、身体を鍛錬し、規律を重んじ、礼節を尚び所風の高揚に努めしむると共に、至誠奉公の信念に燃ゆる皇国無線通信士として、沈勇克く事に処し、責務完遂の信念に徹せしめる様、錬成に努むる覚悟である。

 講習所としては施設すべき事項頗る多ので、将来逐次実行に移して行きたいと存ずるのである。官立校開設早々より新卒業生が続々と送り出されるのであるが、これらの卒業生に対しては同窓の先輩たる本会々員の懇切なる御指導を願わねばならない。年々共に否、月と共に優秀なる無線通信士を送り出そうと我々教職員一同張り切っていることを諒せられ、同窓先輩諸君に於かれても研讃且精励せられ、新人に対し好模範を示さるる様切に自重を望んでやまない次第である。

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