特攻インタビュー(第2回) その7
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編集者
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陸軍航空特攻 中村 眞 氏
◆卒業式当日に現役軍人(2)
--------まず最初は副操縦士みたいな形で配属されたのでしょうか?
中村‥最初から正操縦席に座り、教官が副操縦席に座ってるんですよ。一応エンジンの始動をやるわけだし、その他は飛行機の幅が広いのと双発だというくらいで、そう違和感はなかったです。地上滑走のときの二本のエンジンレバーの使い分けが難しかったかな。
--------私など素人考えで思うのですが、単座飛行機だと飛行機の軸線が中央に来ます。重爆とか双発だと正・副で左右に操縦席があるので、少し位置が中央から横にズレるのではないかと思うのですが、このあたりはいかがでしょうか?
中村‥そうですね。一応こうありますと(手振りで説明)真ん中からウィンドウが分かれます。操縦桿が真ん中に一本ありますけど、それに(横)棒が付いて、こういうハンドル式の物が(左右)両方についてる。単座の飛行機・あるいは練習機ですと、こっち側(左)でエンジン・レバーを動かして、エンジンを噴かすときには後に引く。ところが重爆は前に押してエンジンを噴かすという方式でした。それらについては、いろいろ地上滑走その他の際に教わります。自動車の右ハンドル車と左ハンドル車を乗り分けるようなもので、空中では計器が正しい姿勢を示してくれますから、それに従って操縦すればよいのです。
--------でも、スロットルレバーが逆だと、時々間違えて逆の方にやっちゃうとか、そういうことはありませんでしたでしょうか?
中村‥う~ん……それはあんまりなかったような気がしますね。
--------浜松の飛行第一〇五戦隊にいらっしゃったときには、飛行訓練がメインだったのでしょうか?
中村‥毎日毎日飛行訓練です。だいたい訓練空域が御前崎の上空3000m、富士山が目標。富士山に向かって「はい、旋回開始!」、グルツと周ってまた富士山が出てきたら「一回転終わり!」というようなそういうショー的な訓練から始まりました。九七式重爆撃機一型というのは旧式ですから、フラップと脚を上げるのは操縦士がこう(手振りで)計器盤がありますが、その下にコックがついているんですよ。脚とフラップを操作するために操縦士が「はい、脚!」と言いながらコックをひねるようになっているんです。そうすると機関係が手押しポンプでキコキコキコと車輪を上げます。そういう方式でした。
--------手で上げるんじゃ、なかなか大変ではないでしょうか?
中村‥ポンプですからねえ。フラップもその方式でしたから。