特攻インタビュー(第2回) その31
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陸軍航空特攻 中村 真 氏
◆オーストラリアの捕虜収容所で終戦(2)
--------軍用機に乗って戦死された方は、何万人もいらっしゃると思うのですが、特に特攻で亡くなった方に対して、中村さんご自身の体験から特別な想いはあるのでしょうか?
中村‥それが特攻であろうと普通の死に方であろうと、戦争であるとか災害だとか、歴史の大きな流れの中の渦巻きのようなもんで、ある時代に生まれ合わせた人間の宿命だと思っています。これは個人ではどうしようもない。いくら人間が騒いでも防ぎようもない。ま、特攻ということについて言うなれば、もうちょっと生き残って帰った奴らを丁重に扱うべきだと思いますよ。私なんか帰ってきたら「感状、上聞に達しているから、お前のはお詫び言上だ!」ってなことを復員官が言うわけですよ。「感状、上聞に達しているからどうだって…てめえが勝手にやったことじゃないか!」ってね。こっちがお願いして頼んだわけでも何でもないのに、お詫び言上だとは何事だ!つて、ねぇ! (笑) そういう扱いでしたよ。これ、私の葬式のときの弔辞ですけど (資料を出して)、この師団とか連隊だとかで慰霊祭をやったときの紙ですよ。このお粗末さ、見てください!(笑)それがね、ま、何百人も特攻で死んだから「当時としては良い紙使っているんじゃないですか?」なんて…ガリ版刷りですからね。
--------たしかにそうですね。やっとの思いで命賭けて戦って、こんな紙ベラベラで帰ってくるかと思うと…。
中村‥これもう現物の文字が劣化して消えちゃうから、コピーとってあるんだけど(笑)、現物も残しておかないとね。
--------でも、特攻で亡くなったと思っていたのに、戦後生きて帰って来て、ご家族もビックリされたでしょうね。
中村‥そうだねえ。あの、いつ帰るとも何とも音信がねぇ。で、帰って来てから戦死公報を持って、第二復員局に出頭しろなんて…そんな通知が来て、もう死んだことになっているから、戸籍はなくなっているしね。死亡通知取り消しなんてね、筒単なハガキ1枚がちょこんと来るだけでしょ。その扱いをもう少し丁寧にね…。生命を捨てて戦う精神こそが立派であって、死んだ生きたというのは、あくまでも結果だからね。