特攻インタビュー(第2回) その21
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陸軍航空特攻 中村 真 氏
◆運命の昭和19年12月14日(4)
--------出撃した後は隊長機に付いて行くつていう感じだったのでしょうか?
中村‥そうです。通信士の足立伍長を前方の銃座に移したので、それからは僚機との通信は不能です。なんせ5人しか乗っていませんから、後はもう隊長機の動きに合わせます。重爆の爆撃でも、いざ編隊で爆撃となったら、爆撃手は自分の照準は止めて、隊長機の爆弾が落ちるのを見てるんですよ。安全安全で用心しながらボタンを握っているんですけどね。それで隊長機の爆弾が落ちたのを見た瞬間に、自分の爆弾投下のレバーを握るわけですから。編隊長機が偏流測定から何から全部やって、それに合わせて自分たちも行動するということですね。通常一個中隊は3機。50kgの爆弾を11発積んでいるので、一度にドサッと爆弾が落ちます。
--------爆弾がドサッと落ちた瞬間は、機が軽くなってフワッと浮いたりするのでしょうか?
中村‥いや、浮いたりは感じませんけれども、機が軽くなります。
--------そのときは操縦の微妙な調整をするのでしょうか?
中村‥ええ、それはあります。敵の高射砲弾が空中でボンボンと炸裂して上がって来る。それに合わせて飛行機の動揺を抑えるというようなこともパイロットの重要な役目です。そうしないと、ちょっとこう飛行機の角度が変わっただけでも、射手の照準も爆弾の照準も、全部変わってきますからね。
--------そういうときは、敵がパンパン撃ってきても、自分のやらなければならない任務があるわけですよね。恐いとか何とか言ってる暇はないわけですね?
中村‥そうなんだね(笑)。
--------よく「恐くないんですか?」なんて聞かれることはありませんか?
中村‥恐いとか何とか言っている暇はないですね(笑)。だから私らなんかは、戦闘隊形、翼が重なり合うくらい編隊長機に接近してガーツて操縦するわけですから、今考えると、射手なんかもずいぶんやりにくかったんじゃないかと思うんですよ。細かい舵を使ってエンジンをふかしたり、あんまりふかすと編隊長機の前に出ちゃうし、絞りすざると後に下がるし。そこをブーツブーツとやって、編隊長機の傾きに角度を合わせるから、細かい舵を使うでしょ。横向きの機関銃手なんかは、しょっちゅうこうなっている (揺れている)わけですよ。あれは訓練も本当はやっとけば良かったかな、なんて思いますね。
ざっくばらんな話をすれば、満州での射撃訓練では、戦闘機が大きい吹流しをブーツと引っ張りながら飛ぶわけですよ。我々は飛び上がったら、一回りしてその戦闘機を後から追いかけて、乗ってる射手の人たちが、機関銃やら機関砲やらパンパンと、その大きな吹流しを目がけて撃つわけです。自分の弾には色が付いているので、地上に降りた後でその弾痕を見れば、誰が撃った弾か判るわけです。私らなんかも成績の悪い下士官が乗るとね、後から行って吹流しと編隊を組んでやることがあるんですよ。そうすると通り越せば良いんだけど、そこでウツと止まって、その時パンパン、パンパンと撃つと、自分の撃った弾が一杯当たった形跡が残るんです。後で帰って来て点検してみると、「おっ! 何々軍曹の弾は、いっぱい当たってる!」と。
本当は吹流しと編隊を組んでやったんですけどね (笑)。そうすると射手が、私のところにお礼を言いに来るわけですよ。「どうも有難うございました!」って (笑)、お土産まで貰いましたね、羊羹貰ったり(笑)、こっちも「おお、そうか!」なんて…。でも、ああいう訓練じゃ実戦ならどうなんだろうと思ってね。それこそ、戦闘隊形をとって細かい舵を使った場合、安定した銃の照準ができるかどうかは難しいですね。もうちょっと実戦に即した訓練の方法があったんじゃないかなと、後になって考えていますが…。