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特攻インタビュー(第2回) その26

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通常 特攻インタビュー(第2回) その26

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/1/27 6:49
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 陸軍航空特攻 中村 真 氏

 ◆空中戦で撃墜され海上に不時着(3)

 --------機体が吸い込まれるように海中へと沈んで、藍原少尉と中村さんはどうなったのでしょうか?

 中村‥私は機体が沈んでいったあおりで、海中へと巻き込まれてしまい、再び水面に浮かび上がったときには、すでに藍原少尉の姿は見当たらず、大声で叫んでみたけれども応答はありませんでした。海軍の飛行機乗りが着るような救命胴衣もないし…さあ飛行機が沈んじゃった、どうしようかなと思ってしばらく立ち泳ぎをしていると、沈んだ機に積んであった落下傘の塊がズポッー・ズポツー・と音を立てて勢いよく浮かび上がって来たんです。「これは、ありがたいわい」と思って、天の助けとばかりに私はその一つにつかまって、運を天にまかせてプカリブカリと漂っていました。見上げれば空は晴れて風もなく、波も静かで今まで激しい空中戦があったことなど嘘のようでしたね。敵は撃墜した後も、生存者に対して執拗に銃撃をしてくると聞いていましたが、雲一つない青空には敵機の機影すらありませんでした。「助かったな」っていうよりは「生きてるな」という感じでしたね。手袋やら何から、みんな海の中に捨てて「バイバイ」なんてセンチメンタルになって…(笑)。

 --------他には誰も生き残っていなかったのでしょうか?

 中村‥泳ぎ出してからどれくらい経ったんだか、私の浮かんでいるすぐ近くの海中から、足立伍長がイルカみたいに海面に飛び出してきたんです。てっきり河井と私以外はみんなやられてしまったと思っていたんで、びっくりして「足立-・大丈夫か?」と声をかけたんですが、何も言わずに泳いで行ってしまいました。自分だけでも助かろうという極限の人間性剥き出しの行動だったんだか、日露戦争当時の軍歌『戦友』にあるような傷付いた戦友をいたわるような物語は絵空事にすぎないのかと、何とも空しい気がしたものです。しかしながら運命とは皮肉なもので、結局私は生き残り彼らはみんな死んでしまった。パラシュートにつかまったまま、私は海水を吸って窮屈になってきた皮の手袋やお世話になった飛行帽、航空長靴などを次々に「さようなら」なんて言いながら海に沈めてセンチになってたねぇ。まあ、そのうちにどっかの島に流れ着くだろうなんて思いながら浮かんでいましたよ。

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