特攻インタビュー(第2回) その20
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陸軍航空特攻 中村 真 氏
◆運命の昭和19年12月14日(3)
--------12月14日に出撃されて、何時間かずっと飛んでいらっしゃると思うんですけど、そういうときにはどうやって攻撃しようかなとか、考えられながら飛んでいるのでしょうか?
中村‥いや、飛ぶ前に私の機の連中が集まったところで作戦会議を開きました。私が「一番大きな船をやってやろう。どうせ死ぬのなら相手を大勢やっつけたほうがいい。まず、俺が跳飛弾攻撃をかけるから前方射手の足立伍長は13mm機銃を全弾撃ち込んでくれ。爆撃後に敵船を飛び越して海面スレスレに飛ぶから、そしたら後上砲と尾部の13mm機銃は全弾撃ち込んでもらう。それでも敵船が沈まなかったら、反転して突っ込むからその覚悟はしていて貰いたい」と言うと、藍原少尉が「中村よ、なるべく小さい船をやろうや」なんて言ってたけど、みんな腹の中では覚悟を決めたようでしたね。
--------そして、クラーク・フィールドからの飛行第九五戦隊7機とデルカルメンからの飛行第七四戦隊2機が上空で合流したわけですね。
中村‥そうです。9機の編隊で行動していました。天気は良いし気流も静かでした。眠くなるような気分でしばらく飛んでいると、編隊長機がどんどん高度を下げだしたので、これは敵の陣地が近いなと思っていたら、隊長機の背中にあるジュラルミンの赤白2本の信号旗がパンと立つんですよ。「戦闘隊形を組めー」という合図です。いよいよ来たな!と私は被っていた飛行帽をはね上げて戦闘隊形に取り組みました。普通の編隊でしたら《一機高・一機幅》と言って、飛行機の高さと幅が決まっているわけです。戦闘隊形になったら《零横幅・零機高》というような具合にお互いの空間を詰めて、後上砲の集中砲火を張るわけなんでしょうね。戦闘隊形の旗が揚がったから、みんなワーツと9機が寄りました。それでパンパン敵機との撃ち合いが始まったわけなんですね。