特攻インタビュー(第2回) その24
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陸軍航空特攻 中村 真 氏
◆空中戦で撃墜され海上に不時着(1)
--------空中戦で撃墜され海上に不時着されたときは、命拾いしたっていう思いなんでしょうか?
中村‥「やられたな!」っていう感じでしたね。敵の追尾は戦闘機4機。海面すれすれに飛びながら、辛うじて墜落を防いでいた私は、足下を飛び去ってゆく海面を見ているうちに、これはここで死ぬのかなと一瞬思いました。でも死ぬときは、父母や姉妹の顔が走馬灯のように思い浮かぶという話を聞いていたけど、ちっとも浮かんで来ない。降り注ぐ光の玉を4~5回かわしているうちに、光の玉から逃げないで向かって行ったら何とかなるのではないか、えいっ!ままよ、と光の玉の流れに右旋回で突っ込んだ瞬間、操縦席にまともに敵弾を喰らいました。私の耳元でパパパパッていう弾の音、目の前に並ぶいろんな計器盤が一瞬にしてすっ飛んで砕け散りました。あっ!と思った瞬間、飛行機は右の翼端から海中に旋回する形で突っ込んだ。
海水がもの凄い勢いで操縦席に飛び込んでくる。息を詰め目をつぶって、私は操縦桿にしがみついて両足を踏ん張り力一杯引っ張りました。操縦桿を前に抑えたら飛行機はグイと海の底へ落ち込む、操縦桿を引っ張り上げていれば尾部が下がる。海水が入って来ても空気の流れと水の流れと同じだから、操縦桿を引っ張ってれば何とか頭から機首が海底に突っ込まなくて済むんじゃないかと、とっさに思ったからですね。
顔や身体が変形しそうな勢いの海水の流れを全身に受けました。ガーツ!と凄い水圧で、こりゃ大変だと。私らの飛行機の操縦席の計器盤の、このぐらいの厚さの鉄板が置いてあって、背中にも同じような鉄板が置いてあるんですよ。「これはぶつかったらサンドイッチだなあ!」なんて言ったことがありましたけどね。そういう飛行機に乗ってたわけだから。そのせいかも分からないけれど、ああいう具合に火を噴いて落ちていく自分の友軍機を見ると、あんな鉄板はあまり防弾としての効果はなかったかなと…。なんせ爆撃機の弱点っていうのは、両サイドと前方の上なんですよ。
機関銃やら機関砲が後と前を向いてありますが、横と前の上っていうのは爆撃機の弱点なんです。そこには何もない。そこを狙われるといっぺんに逝っちゃいますね。
海水の流れを全身に受けて何秒何分が経ったか、気が付くと機はぽっかりと海面に浮かんでいて、機関係の河井軍曹が浮かんでいる飛行機の左の主翼端に出て、まさに海に飛び込んで泳いでいくところでした。あの間、私は失神していたといいますか、気が遠くなった瞬間があったんじゃないかなと思いますね。まあ、あのときはいろいろ感じましたよ。あれれ、河合軍曹が海に飛び込んでいっちゃう、さあ、俺はどうしようかと。私が操縦席から「おい!河井軍曹! どうするんだ?」と訊ねると、河井は「向こうに見える島まで泳いで行く」と言いながら、航空長靴を脱ぎ捨てて飛び込んで行ってしまった。見ると、遥か水平線の彼方にうっすらと島影らしきものが見える。
私は操縦席に座ったまま腰まで海水に浸かっていたので、持っていた航空地図を破り捨ててゆっくり左主翼の上に出ました。