特攻インタビュー(第2回) その19
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陸軍航空特攻 中村 真 氏
◆運命の昭和19年12月14日(2)
--------そして上空での集合でしたね。
中村‥飛行場上空で空中集合して、編隊は翼を振って飛行場に別れを告げマニラ上空へと向かいました。あとは飛行第七四戦隊と合流して、マニラの上空で援護戦闘機60機と万乗隊の残りが来るという情報でしたから、彼らを待つのにだいぶ空中で旋回していたんですよ。マニラ上空では夜も明けて良い天気でした。しかし全然姿を見せる気配がないので、隊長の丸山大尉も見切りを付けたらしく、目的地のパナイ湾へ高度3000mで向かったんでしょうね。
--------船団攻撃は、そのとき初めてだったのでしょうか?
中村‥初めてでしたね。船団攻撃はやらず、だいたいレイテ島のタクロバン飛行場の爆撃というのが、飛行第九五戦隊の任務でした。
--------いきなりそれで船団攻撃の特攻命令を受けたわけですが、どうやってやろうか、つて話から始まるわけですね。
中村‥結局、跳飛弾による船団攻撃ということでしょう。跳飛弾攻撃というのは池や水の水面に平たい石を投げると、バッハッと水面を跳ね飛んでゆくあの理屈から考えた爆撃法ですね。私たちは対ソ連戦を目標に訓練を重ねて来た部隊なので、跳飛弾の使い方も爆撃方法も、ほとんど訓練を受けていない状態なんです。結局、隊の中で訓練をやったのは1度だけだった。
電波探知機を付けた呑龍に、専門家の少尉が「ちょっと操縦させてよ」と、北海道の根室・釧路の沖に軍艦島という島があるのですが、その島に向かって爆弾は落とさないけど、突っ込んでからガンと機体を引き上げるわけですよ。それをやったら主翼の付け根にある沢山打ってあるビスが、みんなワッと浮いちゃったっていうんですね。帯広に帰ってから整備の連中にガンガン文句言われて、「そんな無茶な操縦するんじゃねえー」なんて怒られましたけど(笑)。
本来の跳飛弾は、海軍では反跳爆弾です。攻撃方法としては、時速350~400kmくらいの速度で急降下して、海面10mくらいをスレスレに飛んで、敵の船の100~200m手前で落としたら、すぐに反転しないと、落とした自分の爆弾が跳ね返ってきて、てめえの飛行機がやられちゃうと。そういうのは後で研究して(笑)、海軍の人に「反跳弾って、どうやるんだよ?」と聞いたら教本を見せられました。反跳弾の訓練は1回もやったことなかったですからね。主翼のビスが、みんな浮かんでしまうような飛行機だったから、向いていないというか、ちょっと重爆なんかでは無理だったんじゃないですか。山本末男という大尉が台湾沖で、敵の輸送船に跳飛弾を投下したと。それっきり何もやっていなかったらしいから…。あれは、あんまり良い攻撃方法じゃなかったんじゃないですかね。