@





       
ENGLISH
In preparation
運営団体
メロウ伝承館プロジェクトとは?
記録のメニュー
検索
その他のメニュー
ログイン

ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失

羽生の鍛冶屋 本田 裕 43(奮闘記その12)

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

編集者

通常 羽生の鍛冶屋 本田 裕 43(奮闘記その12)

msg# 1.44
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/5/9 10:24
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 (初めて庖丁を造る)

 昭和53年4月、刃物店を開業して1年が経ちました。52年11月8日、鍛冶屋の火を灯し、急きょ、即席ながらの練習修行を開始して、燃焼の加減、機械、作業道具に慣れること、岡安鋼材から仕入れた高級刃物鋼の性質テスト、などをくりかえしながら庖丁造りに挑戦しました。

 富士電機に勤務していた技能訓練所の基礎勉強と、溶接、鍛造、熱処理等の経験を思い起こしコークス炉に火を入れました。

 極軟鋼を800度程に加熱、タガネで割り込みを入れ、日立金属安来鋼青紙二号(タングステン含有)の刃物鋼を極軟鋼と共に加熱、そして軟鉄とハガネを接着させるための鍛接材の(テツロウ)をまぶして極軟鋼の割り込み部分にハガネを挟み込み、コークスの中に入れ炉の温度を上げ加熱、800度~850度の範囲内で(テツロウ)が溶け出す状態を見て、極軟鋼とハガネを素早く鍛接(ここで、村の鍛冶屋のうたの如く、火花が飛び散ります)

 つづけて、800度前後で加熱をしながら、スプリングハンマーの力で(ダンダンダンと音をたて)薄く延ばして行く、ある程度の形に伸ばしたら、酸化スケールを表面から飛ばすため、水打ちと加熱を繰り返しながら、片手ハンマーを使い金敷の上で叩いて庖丁の表面をきれいにして行きます。

 鉄の表面を平らにし、柄が入る(こみ)の部分を修正し、庖丁の形状に近づけます。その後、歪を取り、荒削りをして、焼き入れ態勢に入ります。

 油焼き入れで、一応の目安として、焼き入れ温度770度、焼き戻し温度170度で熱処理を行い、その後、研磨作業、四工程を経て、初めての黒打ち仕上げの庖丁が完成しました。
 
 今後、焼き入れ温度、焼き戻し温度と時間、磨き仕上げ、さまざまの庖丁の研究課題が待っております。

  条件検索へ