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心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 17

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通常 心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 17

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/2/7 6:57
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 少年兵の回想 その2

 少通校に入校以来、夏は、日本海の関屋浜における遊泳演習、会津鶴ヶ城址および白虎隊自刃の地、飯盛山への訓育演習、秋は、白山々麓での薪取りや兎狩り、冬は、粉雪の舞う郡山での夜間通信演習、中隊対抗のスキ-競技、春は、泊りがけの野外通信演習等、過ぎし日の想い出は、走馬灯のように現われてきます。行軍の途中、地方人(営門外の人を指す軍隊用語)からの湯茶の接待や、民家へ宿泊させて戴いたことなど、楽しかったことのひとつとして記憶に残ります。私は同県人のよしみもあり、また、なによりもお年寄りの方々と、言葉がよく通じ合ったことが幸いしました。

 私の父は、終戦直後に亡くなりましたが、日露戦争の終了後に、現役で工兵隊に入隊、樺太の国境設定に従事したことがあり、軍隊の経験をいたしておりました。また兄は、戦時中に召集を受け、高田歩兵連隊に入隊していた時、面会に訪れていたことなどもあって、軍隊内部のことは、よく知っていたようです。その父が、私の在校中、一度だけ学校を訪れ面会に来てくれたことがあります。後日、私が、一斉休暇で帰省折、父が私に対して「あそこは、軍隊みたいでないぞ、村松(少通校のこと)は、いいなあー」と、しみじみと語っていた言葉が、今でも鮮やかに、耳の奥から建って来ます。「だから、しっかり奉公(勉強)しなさいよ」と、無言のうちに励ましてくれたものと理解して、父の言葉を有難く、感謝しながら、肝に銘じて、大雪の中を帰校いたしました。

 内務班は、全員が同期生であり、かつ私的制裁もなく、学校当局者、関係者が、生徒の訓育に、最大の配慮をされていた。その姿勢と、その雰囲気が、その儘、父の印象に残り、そう言わせたものと思われます。私もまた、父の、そのひと言の表現が、学校生活の全体であったと感じています。「感謝している」と、前述した所以もまた、ここにある訳です。

 先輩の十一期生は、昭和十九年十一月六日繰上げ卒業をされて、輸送船で、南方戦線に赴かれる途中、五島列島の沖合いで、敵の潜水艦の攻撃を受け、戦わずして、貴い生命を失われた痛恨事は、誠にお気の毒なことでありました。心から追悼の意を表わしますと共に、村松に合祀されています少通出身戦没者の、御霊の心安かれと御祈りいたします。

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