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心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 21

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通常 心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 21

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/2/11 8:25
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 コウリャン飯と米の飯 その3

 このツツガムシの事は生まれてから、この時初めて聞いて知ったのであった。戦後復員してから広辞林(戦前版)で調べたら確かに、本州では新潟県の阿賀野川流域に生息する鼠の寄生虫と書いてあった。
 あの聖徳太子が唐の国王に送ったと言う「日出づる処の天子書を日没する処の天子に送る恙無きや」とあるが、どちら側が語源か知らないがとにかく昔から恐ろしい病気として知られていたのであろう。

 さて、余談を書き過ぎちやったが、タイトルの飯の話に戻そう、半日中行軍してかなり暗くなった頃、山の中の小学校の体操場へ入った。ここで夕食大休止である.酷暑の越後平野を重い軍装で半日中行軍して極限まで疲れた体には、何よりも嬉しい夕食である。

 皆美味そうにコウリャン飯を食べながら賑やかな談笑で場内は沸き上がった。しかし其の中に、この楽しかるべき団欒に加わらないで片隅に固まって、しょんぼりしている一団がある。昼間の強がりも何処へやら、昼食は人の倍食ったとは言うものの、炎天下半日中行軍した今では空腹も疲労度も皆と同じだろう。

 後悔先に立たず、食べたくとも飯食の中身は空気だけ、これから一晩中行軍して朝まで体が持つかなあー、恐怖の場面を想像して慄然たる思いであった。其のとき其処へ見回りに来られた青山区隊長殿、片隅に固まって怯えている一団の馬鹿者共を目ざとく見つけ 「其処のお前達、飯も食わないで何をしているのか」……
「実はこれこれしかじか」区隊長烈火の如く「馬鹿者!若し戦地でそんな事をしていたら死んでしまうではないか」これが他の軍隊ならば(ビンタ)でも食らう所だろうが、厳しく叱責されただけで行ってしまった。もっとも飯も食わないでくたくたに疲れている子供を、ひっぱたいていたら、戦地でなくても死んでしまうと思われたのだろう。

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