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心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 33

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通常 心のふるさと・村松 元少通生らが寄せる村松への思い 33

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/2/25 6:28
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 父から息子へ、姉から弟へ
         -当時の記録からー     その1
       十二期六中隊四区隊 大口 光威

 これは、当時、村松に在った私に、東京の父と姉が、寄せてくれた書簡の一部である。

 私信であるが、あの厳しい戦局下における、父と息子、姉と弟の、心の交流といったものが、或る程度、表われていると思う。
 このような意味で、本稿が、御遺族の方々の、回想の縁ともなれば幸せである。

 私はいま、当時の父をかなり上回る歳になったが、総てに真摯であった亡父の生き方に、尊敬とたまらない愛着を覚えている。
 また、十五の春から十六の秋という、人生の最も多感な時期を、村松で過ごしたことを、少しも悔いてはいない。

 ただ、恨むらくは十一期生徒の事。本稿の末尾に、その出陣式の感想を、私の日記中から抜粋したが、送る者と送られる者と、誰がその十日後に訪れる不幸を予想しえたであろうか。

 遭難記の伝えるところによると、五島列島沖で輸送船が撃沈されたあと、なお多くが、船の破片に綴りつくなど、漆黒の海上を漂っていたが、はじめこそ、お互いに励まし合い、軍歌を歌うなど、必死に気力を奮い立たせていた彼等も、極度の寒さと疲労のおとずれとともに、ひとり、また二人、母の名を呼ひっつ、海上に没していったという。

 只々、御霊のご冥福を祈る許りである。

   ×  ×  ×  ×


 ○ 父から (正式入校を知って、六月十五日付)

 光威、元気か、六月七日付消印のはがき受領した。お前の正式入校の便りを、家内一同、どんなに待った事か。希望の学校に入校、軍服に帯剣姿の入校式の状況が目に浮かぶよ。小さいけれど破邪の剣を帯し、軍籍に身を置き一騎当千の通信兵に成る覚悟と聞いて、この父も愈々嬉しい。どうか、その覚悟でお願ひする。

 本日、中学へ行き退学手続を完了した。田中校長先生も、君の立派な便りには感心して居られた。中学卒業生も及ばぬ文面とね。

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