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歌集巣鴨・10

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編集者

通常 歌集巣鴨・10

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depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/7/22 16:35
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 慰 問

 夕べには腰の痛みの薄らぎて明日聴く落語の籤抽きにけり      諌山 春樹

 映寫幕に語る母子を吾が見つついとけなき日の母恋ひにけり      中村 安蔵

 朝の雪雨に変わりて降る中を舞踊見る長き列につらなる      諌山 春樹

 石井舞踊団の慰問を受けて(三首)
 ぴょんぴょんと蛙を踊る四才の父なき奉子(ともこ)ちゃんに拍手はやまず      神川 秀博

 シベリヤに父喪ひし奉子ちゃんの幼き踊り見つつし泣かゆ      足立 福三郎

 ほのぼのと母の乳にふるおもひかな石井漠夫人司会したまふ      神川 秀博


 出 獄

 (パロールの拒否を受けて)
 居並べる委員の一人がチューインガムかみつつ大きなあくびしてゐき      大竹 善夫

 肩並めて歩ける友は釈放の喜び見せず職なきを云う      高橋 丹作

 假出所確定の友は幾年を貯へゐたる手紙裂きをり      福田 千代吉

 假釈放(パロール)の審査をへけり宵月のみち満つる頃は母とありなむ      黒氏 理助

 十二年振りの帰省も近し母とゐる日々のプランを楽しくたてつ      入谷 房吉

 藤棚のベンチに坐りあれこれと友の話は楽しきことのみ      犬山 要

 如月の霜夜を明けて送らるる心はかなしすべなかりけり      木庭 喬

 自(し)がことは思はず今朝を釈放(とか)れゆく戦友(とも)が手とりてうち喜びぬ      額田 坦

 吾を措きて帰りゆく友目守りつつわが目の翳(かげ)の美しくあれな      谷本 俊一

 二月十七日までの日数消したるカレンダーを壁に残して釈放(とか)れゆきけり       中庭 顕一

 出所後の生活(たつき)のためにと寒き夜を膝しびれつつ簿記講座聴く      射手園 達夫

 再びを海に生きむと心燃ゆ弱り来し視力いたはらざらめや      浅利 英二

 新約聖書置きて出でゆきし真柄君が三度(みたび)失職せりと云い越しぬ       星 良三

 みすずかる信濃に臥す君ありてしづ心なし春に眞向ふ      谷口 武次

 いくたりの別辞聞きなばおのがじし別れ云はむ日めぐりか来らむ      穐田 弘志

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