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歌集巣鴨・51

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通常 歌集巣鴨・51

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/2 8:57
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 異 国(その二)

 明けやらぬ南の空にこだまして萬歳叫び友逝きにけり      鈴木 亀
                             (西貢)

 乏しかる線香供へ在りし日の戦友(とも)偲ぶ夜を雨降りしきる      倉林 幸三郎
                           (プロコンドール島)

 血達磨となるも語らずあくまでも友を護リて死にし秦君      山本 二郎
                  (バンジエルマシン三首)

 MPにせきたてられて別れしが吾が手に残る君のぬくもり        同

 ありし日の君を偲びて監房に遺稿読みつつ涙せきあへず        同

 銃刑の跡にたまりし血の中にゆくりなく見し軍服のボタン      渡辺 正司
                       (ポンチャナク四首)

 血ににほふひつぎの前に老将か頭をたれて合掌し居り        同

 ねもごろに納棺し居れば執行を終えし彼等が乾杯し居り        同

 亡骸(なきがら)は運び去られてMPが血染の手錠洗ひて居たり        同

 マタハリを胸にかざしてわが戦友(とも)はつねの如くに死に就きにけり      鈴木 武夫
                                  (バタビヤ四首)

 暁の死房に聞こゆる「海行かば」悲しきいのち今日も逝くらし      浜田 貞

 この朝(あした)友死に就くと「海行かば」唄ふ囚屋に嗚咽高まる      小林 宗平

 君が逝く永遠(とは)の旅路を浄めむとかくも降りしく時雨なるらむ      鳥井 衛

 死刑独房への道
 悲しみに通ふこの道ゆきゆけば夕去りがてに山鳩ぞ啼く      酒井 光

 元憲兵少佐長幸之助氏を悼む 三首
 山峽の時雨るる街にあひ逢ひし君がゆかりのかりそめならず        同

 絶対の運命(さだめ)と覚悟(きめ)てひたすらに生命守れる君にし哭かゆ        同

 多々良浜に祖國(くに)を護りし武士(もののふ)の若き血潮の君が荒魂        同

 キリストも釈迦も頼まず遺書も書かず刑死したりし勝村少佐      富田 善雄
                             (ジャカルタ)

 死に就くとひと足ごとに遠ざかる君が返り見し最後の笑顔      水元 年男
                          (バタビヤ五首)

 北の國小樽の町に神かけて君待つ人に如何告げなむ      伊藤 金七郎

 せめても君が御霊をなぐさむと愛でて植ゑゐし太陽花(マタハカ)を供ふ      武 勉

 亡き数に入るかと見えしわれながら御霊祭りに会(あ)へる今日かも      鳥井 衛

 インドネシヤ独立す
 亡き戦友(とも)のみたま籠れる椰子の島に今たからかに雄叫び聞ゆ      水元 年男

 次々に死の判決を下されし雨季のメダンを憶ひ出でをり      神住 善治
                              (巣鴨)

 極刑の友におよぶをおそるれば自己を証(あか)さず君は逝きけり      安達 孝
                               (スマトラ二首)

 安らかに眠れとなどか祈るべき御魂をのこし逝きし君故      関 一衛

 頸動脉を切りて死にたる友の顔或ひは云はむ静かなる死と      森重 義雄
                              (サバン島)

 土民らの怒声ききつつ墓を掘るただひたすらに頭を伏して      武 勉
                               (メナド)

 音に哭きて山に対へば雲立ちぬ君があたりか雨いそぐらし      谷口 武次
                        (オンルスト島二首)

 いく度かかの島ぬちの君が眠る土に散りけむ火焔樹の花        同

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