@





       
ENGLISH
In preparation
運営団体
メロウ伝承館プロジェクトとは?
記録のメニュー
検索
その他のメニュー
ログイン

ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失

歌集巣鴨・30

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

編集者

通常 歌集巣鴨・30

msg#
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/8/12 8:02
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 比 島

 見の限りバターンの沖を染めにつつ郷愁に似し紅き陽は落つ      渡辺 斂
                            (マニラ十二首)

 凶と出でし占やめて夕づきし獄庭(には)に佇てれば海静かなり      中馬 礫

 懐しき「木曾」の艦體横たはるマニラの港夕焼赫し        同

 我一人死刑になれば済むといふ小郷(をごう)といへる若き下士官        同

 法廷の弾痕しるき白壁にマニラ湾の夕陽あかあかと照る        田中 徹

 オリオンの星座はひくくきらめけり椰子聳ち並ぶ闇の深きに        最上 善一郎

 人みなの默せる中に檻房今し寂日輪の光こもらふ        同

 年の瀬を獄舎にあれば米軍の舞踏会の花火しきりに聞ゆ        横山 公男

 明日帰還る友は柵の外に忍び来て吾が言傳を逃さじとをり        野崎 敏雄

 虜はれの身を喞つなよこの姉が汝を待つといふ文にし泣くも        横山 公男

 露こむる深山路にして友の名を墓標に彫ると泣きし思ひ出        小林 逸路

 収容所にサンパギータの花咲きて内地帰還の噂たかまる        渡辺 斂

 同胞が訪ふこともなき墓標千基興亡の世に眞白く静か        小林 逸路

 日の丸の波に送られて往きし港に獄衣の我の今帰り来ぬ        禾 晴道
                            (横浜埠頭)

  条件検索へ