歌集巣鴨・55
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編集者
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委員
企画 高橋丹作 小林逸路 冬至堅太郎
各棟委員 鳥巣太郎 西田二夫 楢崎正彦 栗原吉生 横山公男 安達孝 寺田清蔵
(印刷兼務) 芳尾哲郎 冬至堅太郎 鈴木義輔 福岡千代吉 小林逸路 長谷川義男
今野逸郎 加藤三之輔 中村安蔵 谷本俊一 毎田一郎
各棟委員 大城戸三治 佐々木勇 田中徹 大神善次郎
刻 字 田中徹 木田達彦 田中勘五郎
扉 挿絵 小川義高 飛田時雄 星川森次郎 灘波門十男
あ と が き
本歌集は巣鴨在所者二一七名、外地服務者二名、出所者二三名及刑死者四五名、計二八七名の作品四三三一首中選者梨岡壽男、平尾健一、谷口武次三氏に依って一〇九八首を選定編輯之に辞世三七首を加へたものであります。当初刑死者の遺族、外地服務者及出所者の分をも廣く収載する企画でありましたが凡有る点に於いて自由を束縛された環境にありますためその範囲が限られることになりました。また紙面の都合上應募歌数も遺詠以外は各人二〇首に限定せざるを得なくなりました。従って多数の貴重な作品がこの集から漏れてゐることをお詫び致します。
選歌の方針として本歌集は成可く戦犯記録として價値あるものを採り他方短歌として秀作であってもそれとの関係薄きものは割愛するに余儀なきに至ってをります。更にこの歌集が完成するまでの企画、編輯、刻字、印刷等は労役以外の寸暇を盗んでなされ、剰へ資材の不足、印刷の困難等によって不十分な点が多く大方の御期待に沿ふことが出来なかったことは遺憾でありますが、幾多の困難に遇ひ乍らも漸く生れ出たものでありますから、却って私達の歌集としては相應しいものではないかと思はれます。
本歌集が六年間の忍苦の記録として大方の机上に永久に残り併せて戦犯となるものの実相の幾分なりとも世の人々に認識して頂くよすがともなれば、幸ひ之に過ぎるものはありません。
終りにこの企画に御賛同の方々より用紙及印刷材料を恵贈して頂いたことを厚く御礼申し上げます。
昭和二十六年十月
歌集編輯委員
高橋 丹作
小林 逸路
冬至 堅太郎