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歌集巣鴨・25

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通常 歌集巣鴨・25

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/8/6 7:50
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 裁 判

 明日の裁き思ひ悩みて寝つかれぬ夜床に友の寝息きこゆる      河村 秀夫
                             (バタヴィヤ)

 法廷の往復(ゆきき)の道に石礫痰を浴びつつ黙(もだ)に歩みぬ      小野 糺
                                   (広東)

 幾たりが血を吐くおもひにすがりけむ手垢に光るこの被告台      梨岡 寿男
                                (上海)

 神の御名によりて裁くと云ひつつ復讐の眼(まなこ)吾は見にけり      森重 義雄
                                  (メダン)


 たたかひのかちのすさびに血にくもる刃かざして裁くといふか      荒木 貞夫
                                 (東京)

 風邪のまま通ふ法廷の重々しき空気にひびき咳(しわぶ)きやまず      平尾 健一
                                     (横浜)

 八紘を一宇にせむと法廷をとよもすばかり讀みきかせたり      荒木 貞夫
                               (東京)

 生き甲斐は此の一時にありといふ妻の面輪は輝きて見ゆ      射手園 達夫
                            (横浜三首)

 「福ちゃんの漫画」証據に出でし時暫し和みぬ夏の暑き日を      鈴木 薫二

 小春日の裁きの廷(には)のつれづれに繪をかき眠り歌つくるあり      山上 均

 リンチの果結核の重患に喘(あへ)ぐわれを木椅子に横たへて裁きつぐ日々      吉田 朋信
                                      (香港二首)

 今日もまた侮蔑のまなこ身に浴びて裁きの庭に出で立つわれは      山崎 太喜男

 あきらめは虚無にあらずとみづからをいたわりてみる求刑の夜      早川 暢夫
                         (チモール・クーパン)

 やうやくに心静けくなりし今宵マキリン山の月にたたずむ      田中 徹
                             (マニラ)
 
 銃殺と聞きたるときに背向(そがひ)より涌きあがり来し土民の歓声      鍵山 鉄樹
                                     (蘭印)

 四十一人次々に絞首刑を受けければ遂に泣き伏す女辯護士      吉原 剛
                                 (横浜)

 口惜しくば戦に勝てとうそぶきし検事の言葉またも憶ひぬ      横山 公男
                               (比島) 

 帰るさの護送車の影ながくして心に沁みる秋の日の色      門屋 博
                             (上海)

 キリストも釈迦も架空のものなりとあざけりし彼は無罪となりぬ      早川 暢夫
                         (チモール・クーパン)

 あかしたちて帰る身羨し吾が友の心の中や清しかるべし      小林 仁
                             (グワム)

 師を思ふ教へ子たちの眞心にとつくに人も心うごきぬ      沼尻 茂
                             (横浜)

 敢然と一人無罪主張せしパールと云ふ印度の判事      高橋 丹作
                           (東京)

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