歌集巣鴨・44
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編集者
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孤 独
暗き日は千尋の沼の底深く心沈みて吾が默し居り 故幕田 稔
(巣鴨二十六首)
入浴も終へ髯剃りたればあはあはと晝飯まではうたたねをせむ 同
二月(ふたつき)を住みゐし房を移り来ぬ紙のコップを棚に忘れて 同
最后(つひ)の日まで圖書の整理を続くるはわれに残されし幸福とぞ思ふ 同
天皇も人民も頼りとしてはをれず孤独を生きしこの二年半 同
み佛像(ほとけ)よ幾多の獄友(とも)が秘めにけむ最后(つい)の想ひを吾に知らしめ 同
岩蔭の深山椿が幽けくも地に落つるごと吾は死なむか 同
何をしてもまとまり一つつかぬ日の昏わゆけばはやい寝むとぞする 故田口 泰正
手造りのエヴァーシャープの感觸を試みるごとくもの書きはじむ 同
残飯に歯磨粉(こな)を練りまぜて煙草のパイプつくりゐる囚友(とも) 同
いきほひて語りゐたるに赤潮のプランクトンの名を思ひ出ださず 同
満ち足りてとり片附くる食盤にわが残したる人参二切 同
あくまでも妥協はせざりきしかすかに昂りゐたる吾とし思ふ 同
疲れ来てもうこれ以上はと思ひしが残る二枚を寫し始めぬ 同
「神経痛は早く癒さにや」と背の凝りを揉みくるる君の容赦なき力 同
口すすぐ水に映れるわが顔は生命あふれて耀ふものを 同
この朝け熟睡(うまね)ゆ覚めしたまゆらにまつはり来る暗き死のかげ 故田口 泰正
わが足の爪は鋏に虧げゆきて房の朝の空気は重し 故成迫 忠邦
隣房の友に合はせて唄ひをり向つ玻璃窓(はりど)の夕映ゆる頃 同
向つ棟(や)につらなる窓の灯は消えて吾が監房の夜はしづもりぬ 同
掌(たなぞこ)に佛と言ふ字を繰り返し我は書きをり夜の小床に 同
枕辺の壁に手影の小狐の影繪をみつつ吾は寝ねしか 同
汗たりて飯盛りくるる獄友(とも)のことした思ひつつさじをとるなり 故榎本 宗應
聞きなれぬ下駄音のして窓下にああ筒井さんが仰ぎ見ゐるよ 同
曇りたる今朝の朝けを地階より老師のみ声すみとほり来も 同
木曜の夜は再びめぐり来ぬ肌ふき清め遺書をととのふ 故藤中 松雄