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歌集巣鴨・23

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通常 歌集巣鴨・23

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/8/4 17:12
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 晦 冥

  敗 戦

 台湾統治五十年の歴史今滅びむとす総督府魔天の塔は燃えつつ      牧沢 義夫
                                    (台湾)

 紺碧の大わだつみに影曳きてわが機は東へ東へ翔くる        同

 灯のかげに信國の太刀抜きもちてみだれ見つめしときもありにき      大城戸三冶
                                (内地二首)

 自刃せる杉山夫人のこと言ひし或る夜の妻の涙おもほゆ        同

 をみな子は自決ときめて白妙の布(きぬ)うち振れる夕づく丘に      渡辺 斂

                                 (比島七首)
 海岸の真砂(まさご)に僅か書きとめてマラリヤの友また自決せり      出口 太一

 空せまきレオンの谿の水のべに三日堪へたり蜷をはみつつ      渡辺 斂

 夕まけてオトンの街の古寺ゆ響く鐘の音谿にこもらふ        同 

 品ふりし天幕張って岩かげにスコールさけつ戦友(とも)と二人して      中村 安藏 

 終日の銃声やみて昏れなづむ山峯(ね)はるかに野犬の声す      渡辺 斂

 最後(いやはて)の野宴に集ふ二千名軍と稱(なづ)くるも今宵一夜を        同

 天地は今忽ちに裂くべしと我がむらぎものたかぶりやまず      酒井 光
                            (爪哇二首)

 敗戦後自決せしインドネシヤ憲兵補ラデン・アブドルカリ君を憶ひて
 心根のいぢらしければしかすがにねのみし泣かゆ遺書をくりつつ      富田 善雄

 しぶく雨のなかを頻りにゆく車輛武装とかれし軍集結のために      森重 義雄
                                (スマトラ)

 昨日までわが兵哨ちしペラ河の橋のたもとに英兵誰何す      谷口 武次
                              (馬来)

 死してなほ足らざる罪は背負ひつつ生き難き世に生きんと誓ひき      餅田 実
                                (支那四首)

 死すべきか生き抜くべきか思ふこと惑ふことなく子は生れけり      加藤 三之輔

 四明山の奥所にこもり國民の寄托に副へといひし戦友はも      梨岡 寿男

 細予千足國と遺されて戦ひ敗れし罪はのがれず        同

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