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歌集巣鴨・53

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通常 歌集巣鴨・53

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/4 14:27
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 巣 鴨(その二)

 高塀の彼方の監に人一人今夜(こよひ)を死ぬとしづもれるはや      伴 健雄
                                (岡田資氏)

 梧桐(あおぎり)の稚葉(わかば)は風に躍れるに七たりの友逝かねばならず      谷本 俊一
 
 あの窓の明り消えなば我が友の去り逝きますと夜な夜なに見る      橋本 欣五郎

 花祭る今日を七人死に就くと老師のみ声杜絶えがちなる      中村 安蔵

 佐渡おけさうたひ終りて新潟の四人の友ら死につきしとふ      鈴木 義輔

 「皆さんさようなら」と闇に叫びてゆきしとふあたりに佇ちて友偲びをり      大島 紀正

 照る月も血に染めとばかりにも絞首台辺絶叫聞ゆ      橋本 欣五郎

 縛られて鉄扉に消えし幻影がしばらくあり刑場をつつむ夜霧に      大槻 隆

 メフイストの哄笑奥に聞くごとし灰色の壁に耳を当つれば      井上 彦次郎
                            (刑場の門)

 瞑(めつむ)れば時空のはてにこの廊を辿りし足音(あのと)聞ゆる如し      下田 千代士

 刑場の道に窪める足跡をふかめて朝の雨は降りつぐ      佐々木 勇

 今日もまたたそがれてゆく刑場の空を仰ぎて喪(な)き友思ふ      瀬山 忠幸
     
 鎖されたる十三号の門近く露もしとどに茶の花咲けり      中川 泰治

 刑場の扉の前にこぼれ種の水菜は伸びて花つけにけり      野口 悦司

 こともなき金曜日かと思ほへば刑場の傍に咲く菊の花      布施田 金次郎

 寂かに雪は降りつつ空重きたそがれ時を黒し絞首場      伴 健雄

 昨夜の間を変りなきごと刑場のそばの菜の花黄に咲きゐつつ      長谷川 義男

 刑場のかたへに咲ける鶏頭の妖しきまでに紅ゐは濃き      内田 五郎

 心々とものをこそ思へ刑場の鉄扉にしみいる冬の夕光      山田 太一

 刑場の草むしりやめたたずめば逝きし友らの声がきこゆる      山上 均

 おづおづと鉄扉くぐりて立ちならぶ絞首台を見つつ息吞みゐたり      大城戸 三治

 焼香の焚きがら淡く匂ひゐて囚友(とも)逝きし刑場今朝ひそかなり      岩沼 次男

 心堪へて登りしならむ絞首台の十三段を拭き清めをり        同

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